26.彼女のラブレター ページ27
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Aちゃんへ。
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こんにちは。陽菜です。この手紙を見ているということは私はもうこの世にいないんでしょう。
…って言うドラマみたいなロマンチックな書き出し、してみたかったの(笑)
でも言ってることはあながち間違いじゃないから、怒らないでね。
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さて。今頃雅紀くんはどうしてるのかな？泣いてくれてるかな？
泣いてくれてるんだろうね。優しいもの。優しさの塊だよね、雅紀くんって。
だから、そんな雅紀くんが私は大好きだった。
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ちょっと、昔話をするよ。
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雅紀くんと私が出会ったのは、かなり前だね。恋に落ちたのは私の方。
雅紀くんは優しくて、明るくて、太陽みたいな人だった。もちろん、女の子にも人気だったんだよ。
私もその中の一人で。ずっと見つめていられたらいいな、って。そう思ってたんだけど。
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ある日、ポチを散歩させてたらね。会っちゃったんだ。雅紀くんに。
「意外と近所だったんだね、陽菜ちゃん」って話しかけられた時
「ああ、この人は私の名前も覚えてくれてる人なんだ」って思って。泣きそうになっちゃったの。雅紀くんには秘密ね？
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散歩コースが雅紀くんの家の帰り道だったから、少し一緒に帰ってて。
ドキドキ、ドキドキ…。って心臓がパンクしそうな時だったの。
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「雅紀くん！」って、ポロン…と後ろから可愛い声がして。私はそれに反応して後ろを見てから
横を見ると。「A！」って、今までに見たことないようなキラキラした太陽なんかより、そうだな。七色の虹みたいな。そんな眩しい笑顔をして。
Aちゃんを、見つめてたの。
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このとき思ったんだ。「ああ、この人はあの子が好きなんだ」って。
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Aちゃんもすごいキラキラしながら雅紀くんを、見つめてて。雅紀くんは愛おしそうにAちゃんを見つめてて。
入る隙間なんてない、って思ったの。だから諦めよう、って。
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それで、告白してすっきりしよう。って。
次の恋に進むために、…って思ってたのに。
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「いいよ、付き合おう？」って言われた時は
私、夢を見てるのかと思ったの。
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