秘密とラブレター【M.A】 (ページ20)

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19.虹の彼方へページ20

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『虹の彼方には悩みが溶けちゃう国があるんだよ』

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キャラメルのような夕暮れをバックに、赤いランドセルを担いだ私と大学帰りの雅紀くん

小さな手のひらと、大きな手のひらを重ねてぎゅっと繋いで天気雨が通り過ぎた街を眺めて

酷く綺麗に架かっている虹を見て、雅紀くんがそう言った。

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『悩みが溶けちゃう？』

雅紀『そう。レモンドロップみたいに溶けちゃうの。それとね虹の根元に行くと願うが叶ったり』

『ウソ！』

雅紀『嘘かもしれないし、本当かもしれない。わかんないでしょー？』

『まさきくん、そーゆーのヘリクツっていうんだよ』

雅紀『なっ？そーゆー言葉どこで覚えたの！コラ！俺のレインボー・ストーリーを！』

『同じクラスのタクミくーん』

雅紀『ちょソイツ連れて来なさい、一回ぶん殴る！』

『なぐっちゃだめだよ！？』

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私はその日から、本当に虹の彼方にはレモンドロップのように悩みが溶けちゃう国があるって信じてるし

虹の根元に行けば願いが叶うと思っている。

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だから、私は今虹の根元に行きたい。

本当に、本当に。

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リホ「あれっ、A後夜祭は？出ないの？」

「ごめんちょっと具合悪くて。帰るわ」

リホ「そうなの？そーなら仕方ないや。お大事にね」

「うん、ごめん」

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いつかのキャラメルのような夕暮れを窓から眺めて、私はガランとした教室でカバンを肩にかけて

グラウンドで「わぁー！」という後夜祭独特の盛り上がりを耳で聞き流しながら

静かな廊下を、ただ一人で歩いていた。

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ーーー…雅紀『やだよ…』

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保健室でさっき言われた言葉。

ただ私の膝の近くで泣きじゃくる雅紀くんは、なんだかいつもの雅紀くんじゃなくて

私はなんて声をかけたら正解なのかが分からなかった。

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ただ分かんなくて、オロオロしてたら急にシャ…ッとカーテンが開いて

思わず眼を見張ると、カーテンの裾を持った櫻井先生がいた。

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翔『ーーー…雅紀』

雅紀『…、俺やだ…』

翔『七瀬の前で何してんだよ。オラ行くぞ』

雅紀『だって俺、おれ…』

翔『来い』

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そう言って雅紀くんの腕を引っ張った先生は、先生じゃなかった。

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