18.太陽が雫を零す ページ19
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潤「……ここは憩いの場じゃないんだけど？」
雅紀「ごーめんって！ね！ちょっとだけベッド貸して？」
潤「さっきもそう言ってニノがウサギの被り物して寝たり、大野さんが昼寝したり、翔さんが女子生徒から逃げてきたりさぁ…」
雅紀「保健室はみんなの場所！ね！」
潤「……分かったって。右のベッド使って。そこが一番聞こえにくいから」
雅紀「ありがとー潤くん！今度の飲み会で俺奢るね！」
潤「はいはい早く行け行け」
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雅紀くんが泣き止まない私を連れて来たのは、潤先生がいる保健室だった。
潤先生は保健教諭で、いつも白衣姿。もちろん女子生徒に人気だ。
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潤先生は私の方をチラリ、と見て優しく微笑むと保健室を出て行った。
バタン、と音がしてそれと同時に雅紀くんが私をベッドの淵に座らせた。
自分は、そんな私を見上げるように床にしゃがみ込んで腕を組んだ。
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雅紀「泣き止んだ？」
「……う…、ん」
雅紀「そ。あーあせっかくお化け屋敷楽しんでたのにー。この後Aとたこ焼き食べたかったのになぁ」
「……」
雅紀「たこ焼きは今度、近所のたこ焼きのオッチャンのとこで食べよっか。いつがいい？」
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多分、雅紀くんは。
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雅紀「今月俺が忙しいからなー、来月？来月にしよっか、ね？」
「ーーー…、雅紀くん」
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「私、一週間後にはもういないよ」
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雅紀くんは、全部知ってる気がした。
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静寂は何故かどこかロマンチックに感じて、窓の外は太陽がじりじりと。
静かすぎるから、保健室の外の音が聞こえる。隣の特別教室ではどうやら縁日をしてるみたい。
射的の音とか、そういう類のものが聞こえる。
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雅紀くんの顔が、前髪と影でよく見えなかった。
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雅紀「…………だよ」
「…え？」
雅紀「……やだよ」
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雅紀「俺、やだよ」
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確かに、でもか細く聞こえた声。
どこか消えてしまいそうな、儚さを持ち合わせた雅紀くんは私を見上げた。
雅紀くんを見下ろしてる私は、そんな雅紀くんの顔を見て息を呑んだ。
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「雅紀くん……」
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雅紀くんは、泣いていた。
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