01.窓の外の世界 ページ2
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廊下側から数えて3列目の1番前の席。つまり教卓の真ん前。
最低最悪な席が、私の高校最後の席だった。
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(…あ。)
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お昼休みも終わった、4時間目の現代文。真面目に受けてる人なんかいないと思いきや
女子生徒は全員起きていて、その女子の勢いに圧倒されて男子もチラホラ起きてノートを取っている。
その理由はたった一つ。現代文の先生が
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雅紀「えーっと、この作品の作者名は志賀直哉。テストに作者名はとか聞かれちゃうから覚えといてね」
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イケメンの相葉先生、だからだ。
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ウチの学校の男性教師の顔面偏差値は恐ろしく高い。特に
数学教師の二宮先生、体育教師の大野先生、英語教師の櫻井先生、保健教諭の松本先生に並んで現文の相葉先生。
この5人は女子生徒たちに意味がわからないほどの支持を得ている。
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私はそんなにそのことに関心がなく、机に肘をついてぼーっと窓の外を眺めていた。
さっき天気雨が降ったからか、窓の外には色鮮やかな、でも消えかかっている虹が架かっている。
きっと気づいているのは少なくて、このクラスじゃ私だけ。
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なんか得した気分。丸儲け？
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雅紀「じゃー、今日はワークしてもらおっかな！はいワーク出して出して！期末考査近いかんね」
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そんな相葉先生のお声がかかると、一斉にあちらこちらから「あいばせんせーい、これわかりませーん」っていう
いかにも下心丸見えのクラスメイトたちの質問攻めが始まる。
相葉先生は「えー？」なんてにこやかに微笑んで教壇から降りて私の横を通り過ぎた。
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風が吹いた。
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「…香水変えたな」
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ポツリ、と呟いた数秒後に虹が呆気なく消えた。
どういうメカニズムで虹は消えるんだろうか。時間って決まってるのだろうか。
そんなことを考えていると、トントンと机を叩かれて不意にその音の方を振り向くと
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雅紀「七瀬？ワークは？」
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…なんて、しゃがみこんで私を見上げる体制。
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「…あります」
雅紀「じゃあ、出してやろっか」
「…、はい」
雅紀「ん。」
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やっぱり、香水変えたよね、先生。
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