04.ヒミツの正体 ページ5
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潤「少なくとも」
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潤「お前と同い年で、お前なんかより全然大人なやつを俺は知ってる」
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鼻の奥がツンとした。
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マツモトジュンが立ち上がる。
歩く。
私の前に立つ。ふさがる。
見下ろす。
笑う。
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潤「いいよ。俺がお前を大人にしてやろーか」
「…誰もそんなこと頼んでない」
潤「アッチの意味じゃないからね。保健室のセンセイだからってそういうこと期待すんなよ」
「期待もしてない」
潤「寂しいんだろ」
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鼻の奥がツンとした。
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消毒液のにおいのせいだ。絶対そうだ。
キーンコーンカーンコーン…と授業が終わるチャイムが鳴り響く。
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毎日が退屈で、つまらない日々。
繰り返されるサイクルにウンザリしてる日々。
変わるなら今だとマツモトジュンが言う。
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俺の手を取るなら今だとマツモトジュンが言う。
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「マツモトジュンの、秘密教えてくれたらいいよ」
潤「マツモトジュンってなんだよ(笑)」
「マツモトジュンの、誰にも言えない秘密」
潤「マツモトジュンだけど、マツモトジュンって呼び方気に食わねーなぁ…」
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ま、いっか。って言葉は風と共に頬を擦り抜ける。
マツモトジュンが少し屈んで、私の左耳に唇を寄せる。息がかかってくすぐったかった。
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潤「俺の秘密はーーーーーーーーー…だよ」
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クーラーの風。消毒液のにおい。麦茶の味。
夏服のスカートの薄さ。
耳に感じた体温。
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そっ…とマツモトジュンが、私に秘密を囁いて顔を私から遠ざけると
楽しそうに、切なそうに笑った。
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「あんた…、本気？」
潤「本気本気」
「マツモトジュンって、……なんか。」
潤「誰にも言うなよ。Aが教えろって言ったんだからな」
「…言わない」
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ナチュラルに「伊藤」から「A」に。
マツモトジュンは白衣を翻して、座って麦茶を飲んだ。
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ーーー…この日から、私とマツモトジュンの「レッツ！大人講座！」というダサいネーミングの時間が始まった。
彼の秘密は
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きっと、一生報われないと知っていた。
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