26.ねぎネギ星人 ページ27
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雨が降ると、必ずあの人を思い出す。
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「…さむ…。」
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熱が引き起こしている悪寒なのか、はたまたただの寒さからきたものなのか。
とにかく私は冷えついた空気に耐えられなくて、背筋をきゅっと縮めて身を丸めてまだ明るい街を歩く。
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風邪を引いたのは何年ぶりだろう。
確か高校生？…あぁ、確か。風邪を引いた時…。
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ーーー…潤『風邪を引いた時はショウガ湯。そんで首にネギ』
『臭くなるからマジでネギはやめよ』
潤『効くのにいいのか？ネギ。ネギ星人になっとく？』
『殺されちゃうじゃん！星人じゃ！』
潤『おら！大人しく寝ろ！』
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潤『ったくさぁ、なんで風邪なんか引くかなぁ。もう高校生だろ？お前』
『…高校生でも風邪を引くときは引くでしょ』
潤『高校生ぐらいになってくるとなぁ、免疫力ってのがついてくんの。生物で習いませんでしたかー』
『そんなん覚えてな…つめたっ！？』
潤『うっせ、冷えピタ貼って寝ろ、バーカ(笑)』
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「ーーーー…」
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ネギ星人には…さすがになりたくないからせめてショウガでも買っていこうかなぁなんて思いながら歩く街。
ウチんちのすぐ近くに確か大型スーパーがあったはず…。
朧げな意識でフラフラしながら歩く街。
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先生が作ってくれたショウガ湯は格別で、美味しいと呟いたら『養護教諭舐めんなよ』って返ってきた。
いや養護教諭関係ないし…。
意味わかんない、もう…。
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フッって笑って滲んだ視界。
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「なんなの…もう…」
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全然思い出になってくれてない。
目を閉じれば、昨日のことのように鮮明に浮かんでくるその情景は
思い出、なんかで簡単に始末しちゃいけない。
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ふらつく足元。朧げな視界。
意識が飛びそう。熱のせい？目の前がクラクラする。
うそでしょ、倒れる？
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あぁ…、会いたい。会って、何を話すわけでもなくただあなたの体温に埋もれてたい。
抱きしめて、首元に顔を埋めて消毒液の匂いに包まれたい。
もう一度、もう一度でいいから。
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おねがーーーーーーー…。
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