24.偶然の合致 ページ25
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雨、松本さん。
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もうこんな条件が一致するような人、この広くて狭い街の中にいるのかな。
でもあの人は雨が嫌いだった。雨が嫌いなら外には出ないはずなのに。出れないはずなのに。
わざわざ雨の日を狙って、やって来るってそれはまた違うんじゃないの？
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でも、もしかしたら…ってどこかで期待している自分がいる。
もしかしたら、私を探してくれてるのかなって
私がバイトしてるから、来てくれてるのかも。でも顔合わせづらいから…って
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そんなことを考えている私の頭はきっとお気楽脳。
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最後の一口でコップの中に張っていた水が消えた。無駄にのどが渇く。
身体中が水分を欲している。
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「…ねえ、風間くん？」
風間「ん？」
「その人ってさ…もしかしたら」
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往生際がなかなか悪い。たまたまなのかもしれないのに。
スマホのカメラロールを漁って、お気に入りにその写真が入ってるなんて私ももう終わってる。
もう半年も経ってる。なのに私はなんでこんなに
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ドキドキ…と吐きそうなぐらい鼓動が早かった。
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「この人…だったり、する？」
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スマホの画面を風間くんに見せる。
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スマホの画面にはいつかの天気がいい日。
制服をまとってる私がにこやかに微笑んで、その隣に白衣を纏った先生が少し苦笑いを浮かべて佇んでいる。
記念に1枚だけ、と懇願したツーショット。たった1枚のツーショットは
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まだ色褪せず、そこにある。
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風間「あー…、そうそう、こんな感じの。今はちょっと雰囲気変わってたけど。あれ、伊藤知り合い？っつーか、制服？」
「…雰囲気変わってたって、どんな感じで？」
風間「なんつーか、こう…ピリピリしてる感じ？その写真だと柔らかそうだけど、俺が知ってるのはオカタイ感じ」
「…ピリピリ？」
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風間くんはうん、と頷いて納豆巻きを食べ始める。どうやら巻物が好きらしい。
私は食欲が完全に失せた。
気持ち悪いほど背中に汗をかいて、俯いてただひたすらスマホに映っている先生と私を見つめる。
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ーーー…ねえ、先生？
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潤「君に言わなきゃならないことが、ある」
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秘密なんか、いらないよ。
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