10.くろねこ。 ページ11
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恋心を捨てる方法を、教えて欲しいと願ったら
同じ激しさを持っていた男の人が隣にいてくれることになった。
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「さむい…」
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空気が汚染されているような、都会の街。
辺りを見ればビル、ビル、ビル。
高い建物しかなくて、低い建物があればそれはなんだか絶滅珍種みたいな扱い。
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膝より少し上にしたプリーツスカートを翻して、水たまりができてるアスファルトをローファーで蹴って
背中にリュックを背負って、ビニール傘でアスファルトを跳ね返す。
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少し肌寒くて、マフラーの季節だなぁなんてぼんやり思いながら信号を待っていれば
ぽん、と不意に左後ろから肩を叩かれた。
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大きな交差点、人が多い中
横断歩道を一斉に人が渡り始める時
動きを止めて後ろを振り向いた。
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「ーーー…中島くん」
ユウト「やっぱり。伊藤さんだと思った(笑) おはよう」
「おはよう…」
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男物のブレザーを着て、もうマフラーをしていた彼はクラスメイトの中島くん、で。
背がすごい高くて、スラッとしてるから芸能人みたい。私は比較的背が小さいほうだから
後ろを振り向いて、顔を見上げれば中島くんが爽やかな笑顔を見せて「おはよう」って言ってくれた。
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信号が青になったから、私たちは遅れて肩を並べて横断歩道を渡る。
水たまりがぴしゃ…、と小さく鳴った。
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ユウト「まさか伊藤さんにここで会えるとは思ってなかったな(笑)」
「…私も。中島くん、珍しいでしょ遅刻。いつも真面目な感じなのに」
ユウト「え？あぁ、ちょっと寝坊しちゃってさ？目覚まし時計セットすんの忘れてた」
「意外(笑) ちゃんとしてそうなのに」
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くふふ、と肩を震わせると
横を歩きながら私を見ていた中島くんが戸惑ったような笑みを浮かべる。
「え？」ってキョトンとすれば、彼は今度は困ったように笑った。
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彼の手には、私と同じようなビニール傘。
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ユウト「いや…ちょっと意外だなって」
「え？」
ユウト「伊藤さんって、あんまり笑わないイメージでさ」
「…あ」
ユウト「笑うんだなって…」
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中島くんの背後
路地裏で、ニャーーオと猫が鳴いた。
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