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「千雨さんさ――千歳なの?」
一瞬心臓が止まったかと思った。
千歳
双葉千歳。これが私の本名。
この名前で呼ばれたのは何年ぶりだろうか
「はい、私は千歳です。お久しぶりです彼方くん」
「やっぱりそうだったんだ。宮城に住んでた時以来だよね」
「そうですね。懐かしい」
私も聞きたかったことなのに知りたかったことなのに
知ってしまうと昔を思い出してしまって上手く話せない
緊張しちゃうな・・・
「これって奇跡に近いよな」
『え?』
「こんな広いネットの世界でこうやって再会できたこと」
言われてみればその通りだ
奇跡、いや運命?
よく分からないけど彼方くんの言ってることには共感できる
「千歳がどう思ってるかはわからないけどさ
俺は千歳とまた会えてこうやって話ができて
すごく嬉しいよ」
素敵な笑顔を向ける彼方くんは昔と変わらない優しい表情をしていた。
私も自分の気持ちを伝えないと
『わ、私もすごく嬉しい
少しまだ混乱してるけどこれからも昔みたいになれたらなって思います。』
「もちろんだよ。
今はそらると千雨でも昔のことは何も変わらない」
そう言って彼方くんは私の横に座りそっと抱き寄せた
「これからもよろしくな、千雨」
そう、この私に好意のないくせに思わせぶりな態度をとってくる彼方くんが
私は大好きだったんだ。
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作者名:寝野好子 x他1人 | 作成日時:2021年12月15日 22時