猫×猫【オリジナル】 (ページ4)

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3、猫の家ページ4

ある、春の日。

「___ここが、今日からお世話になる家…！」

そう、確信したことを口に出し、眼前にある大きな家に私は息をのんだ。

赤レンガのつくりの大きな家は、とてもかわいらしさと温かさを演出していた。

ドキンッドキンッと胸が高鳴る。

不安でいっぱいいっぱいの私は、堪らずインターホンを押した。

「は～い！あ、貴女がAちゃん！今ドア開けるね～！」

何かを考えるより先に、すさまじいスピードでインターホンの向こう側からかわいらしい声が聞こえてきた。

「は、はいっ」

返事をするけど、たぶん向こう側にはすでに聞こえてないだろう。

…というか、先ほどの声からするに、インターホンに出たのは、高校生くらいの女の子だろう。

凛としたはつらつな声にそう想像する私。

突然ですが、私、霧咲Aは今日からこの家にお世話になります。

3日前に両親をなくし、ひとり身となった私を引き取ってくれたのは、親戚の家。

残念ながら私がその親戚と会ったのは幼いころとお葬式の時だけで、ほぼ初対面ということだ。

親戚の家は、私と同級生の女の子と、そのおばあちゃんの二人暮らしらしい。

私もなんとなく気が楽だが、やはり第一印象は大事だ。

しっかり笑顔でいなければ…！

そう笑顔を顔に張り付け待ち続けること約3分。

声からするに相当な美少女が出迎えてくれるだろうと心待ちにしていたが、あんなにインターホンに出るのが早かった割にはドアを開けてくれるのは遅い。

さすがに私も笑顔が疲れてきて、少し顔の力を抜く。

このタイミングで来ることは、まずないだろう、なんて考えていたその時。

「は～い、お待たせしたね！どうぞ、入って～！」

と、なんともはつらつとした明るい声で出迎えてくれたのは

「…えっ、あ、あっ、ありがとうございますっ」

思わず声が裏返ってしまうほどに、驚いた。

なんと、出迎えてくれたのは見るからに優しそうなおばあちゃんだった。

美少女でも、高校生でもなかった。

…声、若すぎ…っ！

と、多少ビビりながらも私は新居にお邪魔したのだった。