初恋カクテル

サマー・トライ　０２ ページ8

「＿＿＿＿＿お、これいいんじゃね？」

　ふと兄が持ったのは…


　…明らかに布の面積が少ない水着だった。

　「…その水着を選んだ意味は？」

　私は沸々と湧き上がる怒りをその言葉に込め、低くつぶやく。

　「…え、いや、ふつーに…露出が多いから」

　「うるさい」

　当然の様に言い出す兄にさらに腹が立ち、話している途中だが、その一言で切る。


　「…なんだよ…あ、じゃあコレは？」

　兄がそう言い、再び手に取った水着にしぶしぶ目を向けると…

　「…あ…」

　と、思わず声が出るほど、かわいいものだった。

　白と黒の水玉に、胸のあたりに黒に赤いラインが入った、私的に「かわいい」と思う水着を、兄の手から受けとる。

　「…かわいい」

　私がそうつぶやくように漏らすと

　「うん、似合ってると思うよ」

　と、兄は優しく、なにもないようにそう笑顔で言った。

　
　「……ありがと」

　無意識につぶやいてみる。

　

　兄は満足そうな表情をしたのち、私の頭に片手を優しく乗せ、さっさかとレジへ向かった。


　私も先ほどまでの怒りはどこえやら。

　すごく、兄のいいところが浮かび上がったようにみえ、身に染みた。





　
　＿＿＿＿＿そして、時は次の日、日曜日。



　…本日、晴天。


　＿＿＿＿＿海の日です！

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