13 ページ13
・
ペラリ…ペラリ…
一定の感覚で捲られていく紙の音
薄暗くかび臭くやたらとでかい資料室に隙あらば立てこもるのが大佐になってからの私の日常
アーデル・ヒメかに用が見当たらないときは資料室にいけ、海兵に聞けば誰しもがそう言うろう。それほどまでに資料室で過ごす時間が多いのだ
そして今日もいつも通り資料を読み漁っていると
コンコンコン
「失礼致します！ヒメか大佐いらっしゃいますか！」
ノックの後に自分を探しにやってきた部下に思わず内心舌打ちをする。
部下に対して悪いとは思うが、自分を呼びにきた＝仕事、資料を探す時間を削られるという方程式が成り立つ
未だ自分の欲しい情報がひとつも得られないもどかしさからどうしても心に余裕が無くなってしまうのだ。舌打ちはよくないけどね
目を通していた資料を閉じる
『今行くよ』
あー今日はもう少し読めると思ってたんだけどなぁ
棚に資料を戻し、何処まで呼んだか分かるよう目印にしている置物の位置をずらす
棚のかげから出れば部下が急いで来たのかうっすら汗をかき待っていた
わざわざ毎回呼びに来てもらうのも悪いしでんでん虫でも常備しとこうかなぁ
「担当地区の見回りのお時間です。ご準備よろしくお願いします！」
『ありゃ、もうそんな時間だったんだ』
時計を見れば確かに予定の30分前集中しすぎて気づかなかった
有能な部下で助かった、と反省しつつも気になるのはやはり続きの資料。
が、私も大人だ。気持ちの切り替えくらいできるのだ。なんてったって大人だからね！
準備を整え軍艦に乗り島へ上陸。そして気づく
『コート忘れた』
まさかの海軍の目印と言ってもいいコートを忘れた
最近物忘れが多いような気がする、これはいかんいかん。
昇進しコート着用を認められてからというもの海軍の制服を着用することは無くなったから、ぶっちゃけ今の格好は海軍と言われなければ分からない
忘れた自分が一番悪いのだが、なぜ誰も気がつかなかったのか不思議だ
まぁ別に困らないし私はいいのだが、如何せん上司がうるさい
『てことで上には言わないでね！』
「「…」」
『よーしわかった。お前らー私が帰りにお土産買ってきてやるからそれでどうだろう』
「「承知しました！」」
一気に盛り上がる部下たち
なんて現金な奴らだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 781人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
よもぎ杏(プロフ) - ヒメかちゃんが可愛くて話も読んでて、元気になれます！更新ゆっくり待ってます。 (2022年11月5日 10時) (
レス) id: 3c2e0a45eb (このIDを非表示/違反報告)
濠 - とっても面白いので更新頑張ってください！！ (2022年9月14日 19時) (レス) @page33 id: 921f0987d6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沼ってます | 作成日時：2022年8月21日 15時
