Queen＆Princess 2

昔話（玄樹編） ページ36

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side 玄樹








「何言ってんの？ほんと意味わかんない」




病気のこともあって、もうどうしたらいいか分からなくなっちゃって

俺の中で崩れてしまった何かを、ぶつけるために彼女に飛びかかってしまった俺。





勇太「玄樹、それはダメ！

ちゃんと落ち着いて話そう？」

紫耀「玄樹〜、大丈夫だよ」




メンバーの焦った声がどこか遠くで聞こえるだけで、自分の気持ちをコントロール出来なくて


そんな時だった

さくちゃんの強い声が聞こえたのは。






『分からないなら理解しようとしてください！

スマホやテレビのちっさな画面で一生懸命、岩橋さんの姿を追うティアラだっているんです！

メンバーのために自分を消さないでほしい、それが私の言いたかったことです』




なんて言うか、圧倒された。

いつも温厚に笑ってる彼女が、ここまでハキハキとものを言う姿を見たことがなかったから。





いくらさくちゃんが嫌いだったとは言っても、

俺のためにこんなに一生懸命になってくれた彼女をこれ以上傷つけるなんてことはできなくて。






力も抜けて、床にだらしなく座り込んだ俺を優しく抱きしめて




『あと一つ、岩橋さん可愛すぎるので、可愛さの秘訣教えてください』





少し潤んだ目で、いたずらっ子のように俺に笑いかける彼女の顔を、俺は今でも鮮明に覚えてる。









『岩橋さんはたくさん輝けてます。

だから、これからもたくさん輝いてください』




さくちゃんが言ってくれた言葉はきっと、俺自身がほしかった言葉で

自分は必要とされてる、そう思いたかったのかもしれない。







「さくちゃん、これからは一緒にたくさん輝こうね」


『はいっ！！！』





・

・

・





懐かしい、もうあれから1年だなんて。


さくは俺に、素直になることがどれほど大切か教えてくれた人。






「さく？

これからも安心して輝きな？



紫耀も

廉も

海人も

神宮寺も

岸くんも

そして、俺、玄樹も


みんなさくの味方だから」





頭を優しく撫でてやれば、何故か少し微笑んだ気がした。









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