私なんて居なくなればいいのに。[H S J]6

284 ページ39

あなたside




來「念のために言っとくが…」




あ「本部では部下らしく振る舞え、でしょ?」




今日何度目かの確認に私は、心配性だなぁ…と苦笑いを漏らす。




來も分かっているようだが、心配でならないというふうに蝉を見た。




…來が心配しているのは元一般人の涼介か、あるいは蝉の態度か。




蝉は今まで一匹狼として独立していた。だから、余計に心配なのだろう。彼は礼儀作法が苦手だから。




私は演技するために１つため息をついてから、來の背後に回りひざまずいた。




あ「來様、そろそろ参りましょう。」




そんな私の姿にｷﾞｮｯと目を見開く涼介と、やっぱり見慣れないと目をそらす蝉。




そして、2人ともあからさまに嫌そうな顔。




しょうがないじゃん、來の評判を保つためには。




…って、あれ?私って來を殺すために組織に入ったんじゃなかったっけ?









よし、作戦変更だ。來は殺さず、上層部を取り仕切る本部のﾄｯﾌﾟを殺ろう。




もとより、ﾄｯﾌﾟを殺して権力を奪い取る算段だったから、決して的が外れているわけではない。




“情“で、少々手元が狂ってしまったようだけど…必ず、ﾄｯﾌﾟは私が殺る。




來「…そんな緊張すんな、大丈夫だからよ。安心しろ、俺がついてる。」




私が緊張していると考えたのか、安心する笑顔を見せてくれた來。




私は、承知致しました、と答えてへらっと笑った。




それを見た來が、蒼太に目配せをしてｱｲｺﾝﾀｸﾄをとった瞬間。




ﾊﾟｧｧｯと目の前が明るく光り、私たちはその光に包まれた。

285→←283

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す