私なんて居なくなればいいのに。[H S J]6

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蒼太side




何でAは裏切ったこんな男をかばうのか、僕にはさっぱり理解できない。




僕が彼に手を出しそうになったときも、Aはいち早く気がついて止めに入った。




何で…何でAは、そこまでして彼を守っているんだい?




あ「…あ、蒼太…?」




僕が黙って考えていると、怒っていると悟ったAが恐る恐る僕の顔を覗き込んできた。




今、Aの瞳に映っているのはそこの彼ではなく、僕なのだ。




そう考えるだけで、僕は優越感にさらされる。




このまま、Aが僕だけを見ていたらいいのに…このまま彼女を抱き締められたらいいのに…。




いや、無理矢理やってAに嫌われることだけは避けたい。




Aのことになると、いつもの余裕がなくなって、つい感情的になり、僕ではいられなくなる。




…はは、僕がこれまでに“女“にこだわったのは初めてだよ。




蒼「…悪いね、痛かったかな?」




あ「いや、大丈夫だよ。蒼太こそ、何か考え込んでたようだけど…」




蒼「大丈夫だよ。」




僕はAの腕をそっと離し、その手をAの頭の上にﾎﾟﾝと置いた。




Aは心地良さそうに、目を細めながらふわりと笑った。




…君の笑顔を独り占めしたい。




そう思ってしまう僕は、どうやら重症なようだ。

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