愛され少女は色鮮やかな世界で無双する【H×H】 (ページ38)

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あなたside

あ｢ギブ、ちょ、いたい。離せ。｣

二人の腕をぺしぺしと叩くと、気持ち程度に力が緩んだ。

ふとピリピリとした殺気が肌にささる。

どうやら、私の見えないところで物騒なことが行われてるらしい。

これは暫く離れてくれそうにないかもしれない。

『53番、会長室にお越し下さい。』

船内に響き渡ったアナウンスの内容からして、どうやらネテロは私に用事があるらしい。

天からの救いとも思われるこの言葉に、私は二人の腕を軽く叩く。

イ｢......はぁ、つくづく邪魔してくるよねあの爺さん。｣

ヒ｢ここにいるから、終わったらすぐに戻ってくるんだよ♥｣

イルミはさも不快そうにため息を零して渋々といったように私の拘束を解いた。

そして、子どもをあやす様に私の頭を撫でるヒソカ。

どこか保護者感を匂わせる二人の行動に私は苦笑せざるを得ない。

ベッドから降り、扉に足を進めるとふとヒソカが突発的な声を上げた。

ヒ｢僕が部屋まで送ってあげるよ♣｣

Aは方向音痴だろう？なんて言いながらにこやかな笑みを浮かべるヒソカ。

少しイラッときたのは恐らく図星を突かれたからだろう。

あ｢...大丈夫だよ、歩いてたら着くって。｣

ヒ｢くっくっく、分かったよ♦行ってらっしゃい♣｣

少し小馬鹿にしたように笑ってから手を振るヒソカ。

私はドアノブを捻り、顔は向けずにひらひらと手を振り返す。

イ｢自信満々なのはいいけど絶対迷子になるよね。｣

扉が完全に閉まったあと、イルミがぽつりと呟いた。

ヒソカは数分後の彼女の姿を想像して、愉しそうに口角を上げる。

ヒ｢さて、何分で辿り着けるかな...♥｣

イ｢俺は辿り着けずに迷子になるに一票。｣

暫くしてからAを催促するアナウンスに、二人は堪らず口の端から笑いを零すのであった。