ずんだれ永瀬くん。

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◇



side 廉








『だから永瀬！そのピン取ってってば！！』






今では前よりも距離が縮まって


永瀬さん、そう呼ばれていたものが「永瀬」って呼んでもらえるようになった。





ぶりぶりした「廉きゅーん」なんてのよりも、好意のかけらもない「永瀬」の方が、俺は何倍もいいらしい。








『だからっ！！ピン』


「俺の対価は高いねんで？」


『なによ』


「せやなー、今日も放課後デートな」





あいつ、喜怒哀楽激しいし怒ってるとこ見るん楽しいねん笑


だからこうやって意地悪することも最近は多いんやけど。









『デートなんてしたことないし！』


「うるさい口やなぁ」


『そっちがうるさい』






もしこれがももやない普通の女子やったら


嬉しそうにちょこちょこついてくるんやけど、どうもコイツはそうじゃないらしい







「今日、放課後どっか行こうや」


『その役目、私じゃなくてよくない？』


「ももがええの、誰でもよかったらそこら辺の人誘うやろ」


『、、、。』







急に黙り込んだかと思えば、うつむいて顔真っ赤にして。




ほんまに可愛すぎ


どこまで俺をお前の沼に落とせば気がすむん？








気づいてないかもやけど、意外ともものこと狙ってる男子多いねんで？




俺は性格悪いから教えんけどさ

お前が好きな岸ってやつも、もものこと好きなんよ






よかったわ、ももが鈍感で。









『行ってあげるからピン外して』


「おん、約束な？」


『分かったから』






そういうと俺は大人しくピンを外す。








『ねぇ、そのピン貸して』


「なんでなん？」


『そのピン持ってると悪さしかしないから』


「そんなんずるいやん」


『なにがずるいのよ！』









だってずるいやん


素直になれない俺が頑張って振り絞った、ももをデートに誘う口実なんに



それがなくなったら俺は、何を口実にももを誘えばええの？








◇

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