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「ニャー」
近くのベンチでクレープを食べているとどこからか猫がやってきた。可愛い白猫。
太宰「まるでAみたいだ」
A「そうでしょうか」
太宰「何も覚えてなくたって、ついてくるだろう?」
A「それは何も分からないから、分かる人について行ってるだけですよ」
猫を見ながら言う。
太宰「じゃ、次行こっか」
A「何処へですか?」
聞いたけど教えてくれなかった。楽しそうに歩く包帯さん。次に着いた場所は勿論見覚えのない橋。
太宰「覚えてないだろうけど、君と初めて会った場所が此処なんだよ。」
人気が少ない此処に私が来るだろうか。
今の私では行かないだろう。
太宰「実は入水が趣味でね、君が止めてくれたんだよ」
では、その包帯は入水で?とは聞けなかった。
太宰「なかなか、名前を呼んでくれないと思っていたら記憶ないんだったね。」
橋の下を見ていた顔が、私の方を向く。
太宰「改めて、自己紹介するよ、私は太宰、太宰治だ。清く明るく元気な自◯を希望しているよ。」
と言った。
私は太宰さんの心の声が聞きたかったけど、今じゃないと思った。思ったから伸ばした手を引き戻した。
太宰「君はこう言ったんだ、「死ぬ暇があるなら私を助けて」って、だから夢は私に引き取られ、探偵社に居るのだよ」
「君が入って来てから新社員が増えたよ」と付け加えていった。まるで招き猫と言っているみたい。
A「もしかして、記憶を戻そうとしていますか?」
思わず口に出してしまった。多分、此れも今ではない。
太宰「やはり、Aは察しが良いね、その通りさ。」
A「許可を取ったのも嘘ですか?」
何故か思っていることを口に出してしまう
太宰「愚問だね」
「当たり前だろう」
A「どうして嘘をついたんですか」
私は少しだけ怒り気味で言う。
どうして太宰さんはそこまでするの?私はどう答えればいいの?何もかもが分からなくなる。
太宰「全くもって理解できないのだけど、何をそんなに怒っているんだい?」
A「そんな…前の私になんて…」
私は、前の私にはなれない、期待通りの私にはなれないよ。記憶を戻したって、元に戻れないのに…
太宰「A… ?」
A「なれないですよ…!まえのわたしには!」
少し泣き声で言う。何を泣いているんだろう…
太宰「そのままでいい。Aのままでいい」
「我慢しなくて良いよ」
と言うと太宰さんは腕を広げた。
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如月ナツキ(プロフ) - 水瀬琥雪さん» うおぉぉ、読んで下さりありがとうございます!名字が一緒って運命ですかね?笑 応援ありがとうございます!更新楽しみにしてて下さい! (2022年12月6日 7時) (レス) id: 2105fe2679 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬琥雪 - まさかの、夢主と苗字が同じ!私の場合はみずせって読むんだけどねw更新頑張ってください!!続き楽しみにしてます!! (2022年12月5日 19時) (レス) @page7 id: 27e17eb645 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月ナツキ | 作成日時:2022年12月3日 14時