107本目 ページ8
｢邪魔なんやけど｣
冷たい声が耳に入った。
振り返れば緑のパーカーをブレザーの中に着込んでいるゾムさんがドア前に立っていた。
その一言で周りの男子は道を空け、ゾムさんに道を譲った。
バチッとゾムさんと目が合ってしまった。
ゾムさんはへにゃ、と笑って私の名前を呼んだ。
｢ひ、いらぎ、さん......お、おはよ、っす｣
｢......お、おはようございます...｣
そしてゾムさんはそのまま前の席へ座ろうとして気づいたらしい。
席替えしたって言ってなかったしな。
するとロボロ君が｢お前はそのままやけど他の人達は皆席替えしてもうた｣と言った。
ゾムさんはそれを黙って聞いた後、私に問いかけてきた。
｢......じゃ、柊さんはそこの席......や、んな？｣
｢う、うん......｣
ゾムさんはぽつりと何かを呟いたあと、以前の私の席があった場所、窓際の席の机を叩いた。
思わず肩が跳ねてしまった。
｢ここ、誰？｣
｢ぼ、僕です......｣
｢............なぁ、お前さ...｣
そこの席に座っていた彼の肩を叩き、何かを耳元で囁く。
彼はその言葉を聞いた後首が折れそうなほど頷き、私の席へ来た。
｢...あの、あのっ！！席、こ、交換してくれませんか......あ、あそこだと見ずらくて......｣
あは、と苦笑いをする。
私に断る理由はないしな、と思い了承した。彼はゾムさんから逃げるように自身の机をこちらに持ってきた。
すまねぇ高橋君。
私が机を窓際に持っていき、席に座るとゾムさんも座っていた。
｢.........ふ、へへ......ま、また、...席隣、やね...んふ、......｣
｢...そ、う、だね、.........｣
なんか、怖い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らむ(プロフ) - わー！！！まじすか？！！！めちゃくちゃ嬉しいです！！ありがとうございます！これからも頑張りますよ〜〜〜！ (11月1日 12時) (
レス) @page3 id: 09543f43fc (このIDを非表示/違反報告)
水傘るん(プロフ) - 一から全て読ませていただきました！！！とてつもなく最高でした...！！天才すぎます...！！これからも応援してます！！！！ (10月29日 1時) (レス) @page2 id: 4bf02c7a0f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らむ | 作成日時：2023年10月19日 12時
