1-6 ページ7
.
.
何故か彼を見ると涙がさらに溢れた。
初めて直接誰かの優しさに触れて
自分がどうしたらいいのか分からなくって。
心がむず痒くて。
「ごめん」
泣き通した後に呟くと
彼は夕日を見ながら全然大丈夫と答える。
優しい横顔、春風で彼の前髪が揺れる。
ドクン
ドクン
波打つ心臓を思わず抑えた。
WN「どうかした?痛い?」
困った顔で心配そうに私を見つめるチョン君
早まっていく鼓動に焦りが止まらない。
「な、なんでもない」
WN「嘘だよ。顔が嘘ついてる」
「ほんとに!なんでもない」
私のこの心臓の高鳴りだって
きっとなんでもない。
WN「ふーん」
少し不機嫌そうな口をする彼は
一体何に対して不機嫌なのか全く分からないけど
その顔ですら私を高揚させるには十分だ。
.
.
「ただいま」
あの後部活に戻ったチョン君にはお礼を伝えて
今日は絵も書かずに少し早く帰宅した。
帰宅を伝えても帰ってくるのは
静まり返った沈黙だけ。
母さんの靴があるのに
私の声は聞こえない振り。
本当に聞こえていないのかもしれないけど。
ひねくれた私には優しい考えなんて出来ない。
「んー、」
制服を脱いでクローゼットにかけ
部屋着に着替えてベットに転がった。
疲れて眠気がきて、瞼が重たくなる。
ご飯の時間まで起きていようと思っても
勝てる訳もなく目を瞑る。
「………ダメだ」
眠たいのに彼の顔を思い出して寝れない。
自分の感情に全く理解ができない。
でも嫌じゃない。
チョン君は何でいつもあの教室に来るんだろう
なんで私には話しかけてくれるんだろう。
なんで私のことを心配して走ってきてくれたんだろう。
気づけばチョンくんだらけの頭を
何も考えずに真っ白に戻すなんて不可能だ。
ドクン。
彼を考える度に胸が苦しく高鳴る。
「…………なんで」
これを世間一般では
恋と呼ぶんだろうか。
.
まかさ私が恋なんて有り得ない。
そんな言葉を自分に言い聞かせている間に
私は夢の中に落ちた。
.
812人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Buu(プロフ) - こころさん» ありがとうございます(;_;) そんなこと言って貰えて幸せ桃の木です (5月2日 23時) (レス) id: 0214dc71c7 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - これからの展開気になります!ゆっくりで大丈夫ですので更新楽しみにしてます☺︎ (4月3日 3時) (レス) @page8 id: ff02d19e18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Buu | 作成日時:2024年2月26日 12時