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放課後
いつもと同じ場所で
いつもと同じように過ごしても
お昼のことを思い出しては
モヤモヤしてうまく絵が描けない。
筆を持った私の手は動かない。
「そんな顔するくらいなら言わなきゃいいのに」
自分が一体どんな顔をしているのか。
想像もしたくないくらい引きつっているのが分かっていた。
自分の保身のために生きている惨めな自分がいやになる。
彼にはなんだか全てを見透かされているようで怖い。
そんな彼はこの部屋には訪れなかった。
「....なんで、苦しいんだろ」
思っていたことを言えてスッキリしたはずなのに。
心は痛んで仕方ない。
窓から見える夕日はオレンジ色に輝いているに。
私はどうして荒んでいるんだろう。
「生まれてくる家、間違えたのかな」
貴方の家族で良かったと
貴方の家族でありたいと
家族と共に生きたいと
家族に私が必要だと
どうしても思えないの。
思えば思うほど愛おしく思えない存在に
私の黒い部分が溢れて苦しいの。
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「___っ、」
全てが嫌になる。
愛されない自分にも。
愛してくれない家族にも。
求めることを諦めた自分にも。
変わることのなかった家族にも。
__ 心の中で愛してほしいと願っちゃう自分も。
全部嫌いだ。
無くなればいい。
「なんで泣いてるの、っ、」
ドアを開けて彼の肩は上下に揺れている。
走ってきたのか呼吸が乱れているみたいだ。
「なんで、きたの。」
WN「昼間のこと気になって」
「うそつき」
WN「こんな走ってきたやつに言うセリフ?」
「私のことはもうほっといて」
WN「ほっとけないよ。」
「大丈夫です。」
WN「泣いてるくせに。」
「.......」
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WN「強がってもいいことないよ」
「わかってるよ」
WN「もう泣かないで」
夕日に照らされた彼が美しすぎて息をのんだ。
泣かないで。そういった彼の心配そうな顔は嘘ではなさそう。
「泣きたくないよ。」
WN「でも泣いちゃうんだ」
「うるさいよ」
・
WN「なら一人で泣かないで」
「何言ってるの」
WN「俺がいる時にして。一人で泣かせない」
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何を言っているんだろう。
この人。
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Buu(プロフ) - こころさん» ありがとうございます(;_;) そんなこと言って貰えて幸せ桃の木です (5月2日 23時) (レス) id: 0214dc71c7 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - これからの展開気になります!ゆっくりで大丈夫ですので更新楽しみにしてます☺︎ (4月3日 3時) (レス) @page8 id: ff02d19e18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Buu | 作成日時:2024年2月26日 12時