妖怪学園Y〜妖術HEROの愛され姫〜2nd【Nとの遭遇】

剣豪紅丸VS怨霊ゲスパイダー！ ページ35

「後藤先生！！」

「この野郎！」

ゲスパイダーの視線が、怒りで叫ぶジンペイの方に向いた。

「暴れて人を傷つけるなんて、お前こそゲス野郎だぜ！針でぶっ刺して標本にしてやる！！」

「飾る場所無さそうだけど……」

コマが冷静にまともなツッコミを入れる。
だがジンペイはそれに構わず、Yメダルをウォッチにセットした。

「お前の時間だ！バケーラ！」

すぐにバケーラが召喚される。
そして続けざまにメダルを挿し込んだ。

「変身！」

ワイワイワイワイワイワイ……SP！

「紅く染まったこの体……お主の血で更に紅くなる、の巻！！」

剣豪紅丸に変身したジンペイに、ゲスパイダーが巨大な手を振り下ろす。

「捻り潰してやるでゲス！」

凶暴化してもその特徴的な語尾は変わらないらしい……いや、そんな事はどうでもよく、紅丸は間一髪で攻撃をかわした。

「逃がさないでゲス！」

蜘蛛ならではの大量の手を駆使し、紅丸に襲いかかるゲスパイダー。紅丸はそれを防ぐので精一杯だ。

その状況を狙っていたかのように、ゲスパイダーは紅丸の足に蜘蛛の糸を巻きつけた。
そして身動きが取れなくなった紅丸を地面に叩きつけて弄ぶ。

「ジンペ……紅丸！！」

AがすかさずYSPウォッチを構えるが、走ってこちらにやってきたメラの声に遮られる。

「紅の親分！！……こっちも変身するぞ、獅子黒！」

メラの隣を走る獅子黒は、無言で了承の意を示した。

これは出る幕がないかも、と思っていた矢先、ゲスパイダーが再び蜘蛛の糸を吐きつけ、メラと獅子黒の動きを封じた。

「メラ君あっさり終了！」

「Aさん！」

コマが何の慈悲もなく言い、マタロウがAに助けを求めるような視線を投げる。

「言われなくても！」

Aが舞姫のメダルを取り出すが、フブキのわざとらしい咳払いによって、その動きは中断させられた。

「Aちゃん！ここは私に任せて！」

「フブキさん！？」

「何度も言ってるでしょ！私にも変身させてって！」

変身したいその気持ちは、Aにはよく分かった。正直変身できることが判明した獅子黒戦から初変身のオヤノメ戦まで、よく変身を耐えられたと思う。

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