妖怪学園Y〜妖術HEROの愛され姫〜2nd【Nとの遭遇】

メラ先輩のゲスバイク！？ ページ29

マスオは、校舎から飛び出し、全力で追手から逃げていた。

まさか見破られてしまうだなんて。
これからどうすればいいのか……いや、そんなことより今はとりあえず逃げるしかない。

「待て〜〜〜ぇい！！」

後ろから聞こえてきた大声に、思わずマスオは後ろを振り返った。
ジンペイが、つい気圧される程の勢いで全力疾走してきていたのだ。

「くそ……！」

前に進もうとするが、メラが茂みから出てきて行方を阻む。

「行かせねえよ」

せめてこれだけでも……とでも言いたげに、マスオはゲスノートを強く抱きしめた。

「そのノートを渡せ！」

ジンペイ達が、もう追いついてきている。
マスオは追手がいない方向に逃げようとするが、再び獅子黒に道を塞がられる。

「男なら観念しろ」

「ちなみにこっちも通行止めでーす！」

獅子黒の正面の方向を阻んだのは舞姫だ。
まさしく八方塞がり。

「痛い目に遭わない内に、そいつを寄越しな」

何も知らない人から見たらカツアゲとしか思えないメラの剣幕に、マスオは焦りながらノートを開いた。

「くっそお！」

もはやヤケクソだ。
マスオは大急ぎで、握った鉛筆でメラの名をノートに記す。

「させるか！」

メラも慌ててそれを止めようとするが……
一足遅かった。

今日一日で何回も聞いたあの奇妙な音楽が響くと、メラの纏う雰囲気が一瞬にして変わった。

「獅子黒ぉ！」

メラは何か悪巧みを思いついた表情になると、獅子黒の両足を小脇に抱えて得意げに叫んだ。

「ゲスバイクでゲス〜！！」

「何ぃ！？」

「ゲスバイク！？」

「メラ先輩！？」

ショックに顔を青くするマタロウとAの様子に反し、ジンペイは少し目を輝かせている。

「ゲスバイクのお通りでゲス！」

そう言うと、メラはバイク状態にされている獅子黒で、生徒達を追い回す。

「メラ君までゲスにされちゃった！」

「くそぉ……少し楽しそうじゃないか……！」

「本気で言ってる！？」

状況を楽観視しているとしか思えないジンペイの発言に、Aが急いでつっこむ。
だが、マスオを放っておいてしまった事に気付き、皆は急いで追跡を再開した。

ゲス剣豪ゲス丸！？→←真相解明！

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