7.honey ページ7
《you》
シャワーヘッドから噴き出した水は最初冷たくて、うわってなる。
けれどそれは、興奮し過ぎの頭にはちょうど良かったみたいだ。
少しだけ、冷静になった。
温まりだしたお湯を頭からかぶる。
さっき勝手に借りた洗面所のクレンジングは高級品で、
絶対ユナクオッパのだよね、これって
と思った。
ユナクオッパはすっかり由香子オンニの家の人じゃん。
……私もすっかりイルの家の人なんだけどなぁ。
わかり合っているもんだと、勝手に思っていたんだけどなぁ。
バスルームに並んだアメニティも高級品で、私はそれを手にとって頭を入念に洗う。
そうしたら。
ガンッ。
バスルームのドアが大きな音を立てた。
ちょうど目を閉じてシャンプーを流していたタイミングで、ビクッとなった。
曇りガラスに透けて見えるのは。
まるで押し付けたみたいになっている拳と。
うっすら透けて見える、やけに縦に長い巨体。
GI「ねぇ…、A…」
随分と盛大な音を立てた拳とは真逆の弱々しい声。
GI「はぁ……」
うっすらとした影が、へなへなと座り込むのが見える。
GI「どこに行ったかと思った…」
A「……」
うまく言葉が出なくて、私は取り敢えずコンディショナーをボトルから押し出して髪に塗り込む。
…オッパもオンニも、口軽すぎじゃない？
ゴニルが来るの早過ぎでしょ。
GI「あのさ、俺、やっぱりAに撮って欲しい」
ゴニルはドア越しにボソボソと喋る。
A「……」
コンディショナーを洗い流して。
GI「俺、それなりに達成感あるんだ。大変だったし、さ」
それは、知ってる。
GI「２年前とは、少しは変われた気でいて、」
それも、知ってる。
それより、もう全身洗ってしまったんですけど。
そこに居られたら、出るに出られない。
GI「Aが撮るなら何でもいいって言ったのは、出来はどうでもいいって意味じゃなくて、」
だったらスチールの専門家に頼めば良いじゃん。
シャワー止められないし。
GI「変わった俺を誰よりもAに見てもらいたかったし、」
ボソボソと話は続くし。
GI「Aは誰より俺をちゃんと見てくれるし、絶対、誰にも撮れない新しい俺の一瞬を切り出してくれるって、信じてるんだ…」
そんなこと言われたら。
A「……そこ、どいて」
GI「え？」
A「出られないから、そこどいて」
GI「あ、はい…」
のそりと大きな影が動いて脱衣所の扉の閉まる音を聞いてから、私はシャワーを止めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
hime(プロフ) - 鈴さん» いつもお立ち寄り&コメントありがとうございます(^ ^)なかなか更新できずにいますが、ソンモくんが帰ってきたら妄想もスピードも倍増したいです！またお立ち寄りください(*^o^*) (2018年4月15日 1時) (
レス) id: 674f15895d (このIDを非表示/違反報告)
hime(プロフ) - みさきちさん» コメントありがとうございます(^ ^)お返事遅くなってごめんなさい…(>_<)ファンだなんて恥ずかしいですけど嬉しいです！かなりペースが遅くなっていますが、頑張ります！ (2018年4月15日 1時) (レス) id: 674f15895d (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - 楽しく読みました…有り難うございました♪☆達の彼女達も仲良しで良いな〜それぞれのペア会話も面白くて…。6人の話を待たせて下さいませ…。 (2018年4月8日 22時) (レス) id: bcaee24547 (このIDを非表示/違反報告)
みさきち(プロフ) - 突然すみません…毎回楽しく読ませてもらってるファン読者です、完成お疲れ様でした！次回作の超新星6人のお話も楽しみにしていますので、体調など気をつけてhimeさんのペースで執筆グァンばって下さい！いつも素敵な作品ありがとうございます♪リピ読みしまくりです♪ (2018年4月8日 9時) (レス) id: ff9a58fc68 (このIDを非表示/違反報告)
hime(プロフ) - poppyさん» いつもお立ち寄りありがとうございます(^ ^)なかなか更新できずにいましたが、バレンタインがどんどん遠のくので、気合いで更新しました（笑）。また少しずつでも更新したいと思っているので、遊びにいらしてくださいね！ (2018年4月5日 1時) (レス) id: 674f15895d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：hime | 作成日時：2018年2月13日 1時
