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篠原くんは、なんだか嬉しそうで、なんだか私もつられて笑顔になってしまう。
「篠原くん、嬉しそう。なにかいいことあったの?」
「ん?…うん、好きな子と こうして喋れて、放課後会う約束までできて、
すごく、幸せ」
照れもせず、そんなことを言うものだから。
油断したら、こっちが赤面しちゃう…!
「しょ、書類書くだけなのに…?」
「十分な理由だよ」
「一時間だけだよ…?」
「今までは喋れなかったし、一時間なんて贅沢なくらいだよ」
「…っ」
なんだか、心が熱い。
熱いのに、心地いい。
「幸せすぎて、どうしよう」
顔をほのかに染めて、くすぐったそうな表情。
私といるだけ、それだけなのに。
こんなに、幸せそうな顔をしてくれるなんて。
だったら、私も、
「あ、あのね、篠原くん」
「ん?」
ぎゅ、と胸に書類を抱きしめて
「わ、私も、篠原くんに会えるの、嬉しい、よ…!」
蚊の鳴くような、途切れそうな声だったけれど
篠原くんにはしっかりと届いていたみたいで。
「…っ!」
タコさんみたいに顔を真っ赤にした篠原くんは、視線をそらして 口に手を当てたまま何も言わなかった。
天気がいいな。
でも。
ちょっと暑すぎる、な。
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「(遅いと思って来てみれば…めくるめくストロベリータイム…か…)」
英 雪音。
牛乳を飲みながら ウブな二人を見守る。
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作者名:向日葵 | 作成日時:2016年2月3日 10時