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「先生、誤解ですよ」
困ったようにやんわりと微笑む篠原くん。
いけ!いけ!篠原くん!
「一方的な僕の片思いです」
「なるほど」
「アピール中なので、ちょっかいは簡便ですよ、先生」
「長期戦か?」
「そのようです」
「若いな」
「高校生ですから」
「ほう」
何言ってるのこの人たち…!
「せ、先生!お呼びになった理由は…?!」
「あ、そうだな。忘れてた」
「一番の目的なんですけれど…」
「これ」
ぴらり、と渡された紙。
「…生徒会…部活報告書類…?」
「書いてくれ。もうすぐ開かれる生徒総会で使う書類だ。データとかは部室に保管されてるはずだから。英と協力して書くもよし、まぁ頑張れ」
「適当です、先生…」
「困ったら篠原に頼れ」
「篠原くん、関係ないじゃないですか…」
「生徒会役員だから、書き方とか教えてもらえ」
「…えっ」
バッ、と篠原くんを見ると。
「生徒会、副会長の 篠原 旭です」
にこり、とブレザーの襟についているバッジを指さす。
「生徒会バッジ…」
生徒会役員しか着けることのできないバッジ。
にこにこと笑う篠原くん。
「ま、そーゆーことだ。期限は一週間な。それやるんだったら 部活は行かなくてもいいぞ。英にはそう言っておくから。その代わりきっちり書けー。てなわけで俺は愛妻弁当を食べる。お前らも飯食って来い、そして俺のように立派な体になれ」
「野菜ジュースダイエットは続いていますか?」
「順調だ」
「お痩せになる見込みは?」
「それは聞くな」
「(この二人、仲いいのかな…)」
とりあえず職員室から出ると、篠原くんが 私の顔を覗き込む。
「さて、どうしようか」
「えっ?あ、こ、これ?」
「うん。いつ書く?それ結構大変だからさ、時間見つけて書かないと」
「そうだよね、んと、じゃあ…放課後…。あ、でも、篠原くん部活やってないよね、すぐ帰っちゃうよね」
「ううん、生徒会室にいるよ。生徒総会の準備あるし、どのみち下校時間まで帰れないんだ」
「あ、そうなんだ…」
「いつでも手伝うよ」
「…あ、じゃあ、私 2時間部活でてから…、その後 1時間 やりたいな」
「うん、わかった。じゃあ18時スタートだね。場所はどうしようか」
「図書館とか、どうかな?」
「了解。18時に図書館ね」
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作者名:向日葵 | 作成日時:2016年2月3日 10時