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放課後。

部活を途中で抜けて、篠原くんの待つ図書室へ。


がちゃ、と扉を開けてキョロキョロ。



あ、




「(いた…)」






読書用の椅子に座る篠原くん。

近寄って、声をかける。





「お待たせ!」

「…っ、あ、百瀬さん」

「…どうしたの?」

「あ、いや、えっと…考え事、してて」

「そうなの?」

「うん、まぁ気にしないで。じゃあ書類終わらせちゃおうか」

「うん!お願いします!」






私も向かい側の椅子に座り、書類を取り出す。

ペンケースからペンを出して、さて取りかかろうとしたら。






「…篠原、くん?」






じ、と私を見つめる篠原くん。

その視線はなんだか、熱がこもっているというかなんというか。

こっちが思わず、視線をそらしてしまいたくなってしまうような…。





「百瀬、さんて…」

「?」

「好きな人、いる、の?」





酷く思いつめたような表情。

好きな人?そんな人、私には。






「ご、ごめんね、私 恋とかしたことなくて。よくわかんないかな」

「…例えば、気が付いたら その人を目で追ってるとか」

「…目で、」

「その人のことを、考えたり」

「…」





思い当たる人。

そんな人は、私にはいなかった。



好きな人?

…梓くんは、優しくていい人。うん、好きな人。でもちょっと違うかな。雪音と同じ感覚の『好き』な気がする。



じゃあ、




「(篠原くんは?)」





は、と考える。



好き?うん、好きだよ、篠原くんはとってもいい人だから。

でも、それだけじゃない気がするの。






「(…あれ?)」





それだけじゃない。



じゃあ、なに?






「…」

「百瀬、さん?」

「…ごめん、なさい…よく、わからない」






ぎゅ、と唇をかむ。

なに?なんなの?この気持ち。


言葉にできそうで、できない。

曖昧な感情、あまりにも不可解な想い。





「…そっか」





篠原くんは、困ったように笑う。






「困らせて、ごめんね」






じゃあ、始めようか。

そう言って、篠原くんは書類について説明をしてくれた。

でも、私の心の中は あまりにもぐちゃぐちゃすぎて。





「(…なんだろう、これ)」






篠原くんを見るたびに、心の奥が引っかかるの。

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作者名:向日葵 | 作成日時:2016年2月3日 10時

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