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昼休み。

菜々子は またも顧問に呼び出され 職員室へ。



早く帰ってこないかな、とスマホをいじっていると。





「英」

「ん?…西海じゃん、何?」

「菜々子は?」





きょろ、と教室を見渡す西海。

あー、なるほどね。アタックしに来たってわけ?




「あんた どうしたの?前までは遠まわしにアピールしてたくせに急に積極的になって」

「…は?!」

「隠さなくても知ってるっつの。菜々子のこと好きなんでしょ?」

「……な、んで」

「丸わかりよ。サッカー部の奴らならみんな」

「……」

「篠原くんが出てきて焦った?」

「…は、?」

「菜々子がとられそうになって、自分を視界に入れてもらえるように必死になってるんでしょ」

「…英、お前容赦ないな」

「でも正論デショ」

「…」






ぐぅの音も出ないとでも言いたげな西海。

技術も持ってて、試合も冷静に対処してて、性格もよくて、他人想いで。
サッカー部の皆が尊敬するキャプテン。

そんな奴の視線は、一人の女の子だけにしか注がれていないなんて。




「(こんだけわかりやすいのに、気づかない菜々子も菜々子だわ)」




ふぅ、とため息をつく。






「しょうが、ないだろ」






ふ、と西海を見上げると 西海は余裕なんてなさげな顔でそう言う。

しょうがないって何が、そう問いかけようとしたら。






「初めて好きになった女子なんだから」






余裕なんてあるわけない。

本気で欲しい。

傍にいてほしい。





菜々子しか、いらない。







昼休みと言うだけあって、クラスは騒がしかったけど。

西海の途切れそうな 小さな本音は私には十分すぎるくらい届いた。






「…にしう、み」

「な、菜々子に言うなよ」

「…人の恋心を本人に言うほど 気使えない女じゃないわよ」






そう言うと、西海はほっとしたように安堵のため息をつく。

いいな、と思う。

それだけ人を本気で好きになれるなんて。






「あ、ちなみに ゲーセンでニコうさ取るのにいくらかけたの?」

「…4000円」

「…?!!!」





まぁ、尽くしすぎだとも思うけどね。

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作者名:向日葵 | 作成日時:2016年2月3日 10時

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