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梓くんは、そのぬいぐるみを 私に手渡す。
「やるよ」
「…………………へ?!!!」
「あらま」
あまりに驚いて体が固まる。
雪音は さも楽しそうにニヤニヤと梓くんと私を見る。え、なんで、面白がるの。
「な、菜々子が こいつ好きだって言ってたから…!ほら、部活のエナメルバッグにも そのウサギのキーホルダーつけてるし…」
「え、で、でも、あ、じゃあ!せめてお金…!」
「いいよ。そんなにかかんなかったし。それに俺は商品目当てじゃなくて、なんて言うか…取れた時の快感が欲しかったっていうか…」
「ほ、ほんとにいいの?」
「俺が持っててもキモイじゃん、バカでかいウサギのぬいぐるみなんて」
「確かにキモイわ」
「うるさい英」
二人の言い争いを聞きながら、ぎゅう、とぬいぐるみを抱きしめる。
嬉しい、優しいなぁ 梓くん。
「梓くん、梓くん」
くい、と梓くんのブレザーを引っ張る。
「嬉しい!本当にありがとう!梓くん大好き!」
傍から見てもあほ面なんだろうな、と自分で思うくらい顔がにやける。
嬉しい、嬉しい、ずっと欲しかったぬいぐるみ!
「…っ!」
「ダ・イ・ス・キ・だって♡」
「英 お前後で覚えとけ」
「あら怖い」
「私、今日から この子と一緒に寝るね!」
「えっ、あ、う、うん…ウサギも喜ぶと思う…大切にされて」
「俺も嬉しいし?♡」
「英 表出ろ」
「やだ怖い」
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作者名:向日葵 | 作成日時:2016年2月3日 10時