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がちゃ。


図書室の扉を開けてきょろきょろ。




下校時間一時間前の図書室は、全く人がいなくて、カウンターにいる図書委員しかいなかった。





篠原くん、いない?






もしかして二階かな。






二階へ続く階段を上ると、読書スペースの机で 前かがみになって寝てる人が1人。






ふわふわの茶髪。



篠原くんだ…。







「(…疲れてる、のかな?)」








音を立てないように ゆっくりと篠原くんの前の椅子に座る。


バッグから書類と筆箱、あと部室から持ってきたデータを取り出し、ふぅと息をつく。








「(起こしちゃ悪いもん、このまま寝かせてあげよう…)」







書類を見れば、どう書けばいいのかわからない項目ばかり。


涙が出そうになるけど、甘えてばかりいられない。


データをフル活用して、少しずつ進めていく。





――――――――――――――――――


―――――――――――――――――――――――――――――……







キーンコーンカーンコーン…。





「(あ、)」







気が付いたら一時間たっていて、下校時間を知らせる鐘がなる。


と。







「ん…」






篠原くんが組んでいた腕から顔を上げ、私を見て固まる。

それはもう、石みたいに。






「えっ!あ…!百瀬さん!」


「おはよう篠原くん、ぐっすりだったね」


「今何時…?!」


「7時だよ、下校時間!」


「7時…て…、お、俺、すっごい寝てた…」


「疲れてたんだよね、大丈夫だよ!生徒会の仕事大変だもんね」


「ご、めん、あ〜〜〜〜、本当にごめん…!」


「気にしないで!それよりほら、帰らなくちゃ、見回りの先生に怒られちゃう」


「う、ん…」







明らかにしょぼんとしてる篠原くん。


真面目な人なんだなぁ、責任感が強くて、寝てた自分を責めてるのかな。



そんなこと、しなくてもいいのに。







「篠原くん、」


「うん?」


「今日ね、どう書いたらいいのかわからなくて全然進まなくて…。明日、篠原くんとやったら、どれくらいスムーズに書けるのかワクワクしてきちゃったの!」


「っ、」








そう言うと、篠原くんは 顔を右手で押さえながら しゃがみこんでしまう。



えっ、嘘っ、なんで?!


急いで篠原くんの前にしゃがみ込む。





「篠原くん、めまい…?!」


「……ううん、違う」






彼は顔を上げて、








「優しいね、百瀬さん」








溶けそうなくらいの甘い笑顔でそう言った。

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作者名:向日葵 | 作成日時:2016年2月3日 10時

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