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「…随分と綺麗な方ですね、もしかして弓弦さんの恋人ですか？」
「い、いえ！まさか…。恋人なんかじゃ」
・
ちくん。
自分で言って、何故か傷つく。
恋人じゃない。
その言葉だけで、ズンと体が重くなる。
・
「…よかったです、弓弦さんに恋人がいらしていたら ダンスの申し込みが出来ないもの」
・
そうして彼女は、僕の手から 手袋を取ると 燕尾服のポケットに綺麗に畳んで入れた。
その行動の意味がわからず、麗子さんを見ると。
・
「直接、私に触って頂きたいです。
手袋越しだと、伝わる体温も伝わらないでしょう？」
・
……なんで、麗子さんがそんなこと……。
もしかして、僕の緊張を取ろうとして下さっているのか。
どこまでも優しい人だなぁ、と思いつつ。
『女性にダンスの申し込みをさせるな、自分から女性に申し込め』
という柊先生の鋭い声で言われた教えが頭に浮かび、急いで腰を少し折り
麗子さんの方へと 右手を差し出す。
・
「…い、一曲お相手願えませんか？」
「よろこんで」
・
麗子さんは、僕の手に自分のそれを重ねると 花が咲いたようにふんわり笑う。
そして、すでに踊っていた人たちに紛れ 努力の成果を見せる。
自分の歩調ではなく、女性の歩調に合わせて、尚かつ相手を導く。
肩を上げ過ぎないよう気を付けて、足の運びが早くなり過ぎないよう曲を聞いて。
麗子さんが踊りやすいように。
・
「弓弦さん、お上手になられましたね」
「本当ですか？お褒めに預かり光栄です…と言いたい所ですが、麗子さんと柊先生のおかげです。ありがとうございます」
「ふふ、相変わらず謙虚な方ですのね」
・
微笑む麗子さんの顔を見て、僕もつられて微笑む。
……でも……。
ダンスの最中、気づけば僕は
……花さんことを探してしまう。
麗子さんと、踊っているのに。
失礼、極まりない男だな…僕も。
自己嫌悪しても、花さんを頭から引きはがすことが出来ない。
そんな状態のまま……曲が終わってしまい。
・
「ありがとうございました、麗子さん。楽しませて頂きました」
「いいえ、それはこちらの言葉です」
・
男の礼儀として、ダンスが終わっても女性を席まで送るという教えを忘れず
麗子さんの手を引きながら 優しく丁寧に誘導する。
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向日葵(プロフ) - Yuwa☆さん» わぁ、ありがとうございます！趣味程度に細々と書いていた小説にコメントを頂けると嬉しいです(*'▽') (2014年12月27日 12時) (
レス) id: 9f8ab9b016 (このIDを非表示/違反報告)
Yuwa☆(プロフ) - この小説、すごく面白い！！更新頑張って！！ (2014年12月23日 10時) (レス) id: e5ea87c0cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：向日葵 | 作成日時：2014年3月21日 10時
