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ぴゅう、と冷たい風が吹く夜。
人影のない広い洋風な庭園を一人でうろつく。
・
「(花さん…)」
・
探しても探しても見当たらない花さんを、ずっと探し回っていた。
庭園の奥へ、奥へ。
どんどん舞踏会から流れる曲が小さくなっていく。
と。
・
「…？」
・
見つけたのは大きなバラ園。
バラに囲まれた道を抜け、その先にあったのは 見事な噴水。
そこに腰かけていた―――涙を流す１人の美しい女性。
・
「…風邪を、お召しになられますよ。そのような薄着で」
「…！」
・
隣に座る僕に、弾けたように顔を上げ、目を丸くして僕を見ると その涙を見られまいと
急いで涙をぬぐい 顔をそむける。
・
「い、いいのよ。私も風邪の一つくらいひいて、貴族のお姫様みたいに
か弱くなってみたいわよ」
・
つん、まるで子ども扱いをするなとでも言うように 言い放つ。
いつもの強がりだ、僕はあきれつつ 上着を脱ぎ 彼女の華奢な肩にかけた。
・
「そんなことおっしゃらなくても、貴女は十分 か弱いですよ」
「……う、嘘言わないでよ」
・
彼女は上着を乱暴に掴み、僕に押し返す。
少し耳が赤いあたり、照れているのだろう。
・
「こういうこと、しないで！好きな人がいるなら、そうでもない女に優しくしないで。
有栖川の姫君にしなさいよ、こういうこと！」
・
なぜか。
その言葉に、少しむっとしてしまった僕は 上着を押し返す彼女の腕を掴み体を引き寄せる。
・
「麗子さんの話ばかり、やめてください。
花さんは、一度も僕の目を見てくれないじゃないですか。
…今。花さんは誰と会話しているんですか…？
僕でしょう、僕の目を見てください」
・
強くそういうと、花さんは怯えたように肩を震わせ おずおずと僕を見上げる。
上着をかけ直し、花さんの長い睫についた滴を人差し指で掬う。
・
「……ねぇ」
「…はい」
「…何も言わず、聞いてて…」
「…？」
・
すると、ぽろぽろ、とまたも溢れる涙。
膝の上でこぶしを作り、切なげな涙を流す花さん。
とめどないその滴は、あまりにも綺麗で
―――――儚くて。
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向日葵(プロフ) - Yuwa☆さん» わぁ、ありがとうございます！趣味程度に細々と書いていた小説にコメントを頂けると嬉しいです(*'▽') (2014年12月27日 12時) (
レス) id: 9f8ab9b016 (このIDを非表示/違反報告)
Yuwa☆(プロフ) - この小説、すごく面白い！！更新頑張って！！ (2014年12月23日 10時) (レス) id: e5ea87c0cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：向日葵 | 作成日時：2014年3月21日 10時
