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麗子さんは、じっと僕の目を見つけて重ねた手に力を入れた。
彼女の言葉に頭はほぼ白紙状態。
きっと今の自分の顔は情けないものだろうと思いつつも、状況を理解できずにいた。
・
「麗子さんは…あ、え、えっと、あの…」
「はい」
「なんで…僕の、こと…を？」
・
単純な疑問だった。
僕には何の取り柄も無く、貴族でもなく、特別優秀な医者でもなく、平凡な顔で。
貴族のご令嬢に好きになっていただけるほど、いい男ではなかった。
・
「…先ほども言いましたように、説明のできない想いです。
弓弦さんには好きな方がいらっしゃることは知っています。
だけど、貴方のことを好きな人がここにいるということも。
知っていてほしいです」
・
初めてだった。
女性から、しかも こんなに綺麗な人からこんなことを言われるなんて。
恋愛経験があまりにも乏しい僕は、この時自分の取るべき行動もわかっておらず
ただただ、情けなくおどおどとしていた。
・
「突然、申し訳ありません。
だけど、どうか良くお考えになって頂きたいんです。
『愛する人』とは、どういうものか。
白百合の君が、本当に弓弦さんの『愛する人』なのか。
それを教えて頂ければ、私は黙って身を引きます。
この舞踏会が終わるまで…ご自分の本当の気持ちをお探しになってください」
・
そう言って、麗子さんは椅子から立ち上がり 僕の元から去ろうとした。
でも。
・
「お、お待ちください！
…なんで…そんなこと…」
・
本当の気持ち？
そんなの、わかりきってるのに。
僕は、花さんの事が―――――――
・
「白百合の君がお好きなら、なぜ想いをお伝えになりませんの？
私には、弓弦さんが ご自分の中で白百合の君がどのような存在なのか
わかっていらっしゃらないように見えます。
わかっているおつもりですか？
どうしようもないくらいに好きなら、後先考えずに想いを告げてしまうはずです。
私が弓弦さんを好きだと言ったとき、貴方は何故？と言いましたよね。
そこで聞き返すという事は、貴方は感情に任されて想いを告げてしまった人の気持ちを
理解していらっしゃらないという事です。
…そんな方に、恋がわかるのかしらと思っただけです。
どうぞ良くお考えになってください」
・
そう言って、カツンと踵の音を鳴らせ
去って行ってしまった。
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向日葵(プロフ) - Yuwa☆さん» わぁ、ありがとうございます！趣味程度に細々と書いていた小説にコメントを頂けると嬉しいです(*'▽') (2014年12月27日 12時) (
レス) id: 9f8ab9b016 (このIDを非表示/違反報告)
Yuwa☆(プロフ) - この小説、すごく面白い！！更新頑張って！！ (2014年12月23日 10時) (レス) id: e5ea87c0cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：向日葵 | 作成日時：2014年3月21日 10時
