音柱は恋人依存症

師範、私は悪くないです。 ページ28

幸せもつかの間。

師範が私を指名できたのは

あの日以来なかった。

というか、

師範が私を指名できなくなった。


別に師範が

何か悪いことを

したわけではない。



自分で言うのも

ちょっと…、アレだけど…。






私の人気が

急上昇してしまったのです。



師範のお相手をした次の日から、

私のことを

日中に指名する人が出てきた。


仕事は夜なのに…。



予約は1カ月先まで

いっぱい。


師範も安易に

私を指名できなくなった。









『花魁になっちゃったし……』





位の1番高い遊女、

花魁になってしまった。

だから、私のお客さんは

政界の偉い人だったり

社長さんだったり。


お金はたくさん入ってくるけれども

お触りが多くて

やになっちゃう。


そういう時は

師範に言われた通りに

食べ物に睡眠薬を混ぜ

眠らせる。←



鬼の情報収集も

確実に進んでおり、

どうやら美人、

すなわち花魁達が次々と

姿を消していると言う。



理由は「足抜け」。


逃げたんじゃないか、って。





「花魁、花魁ーーー！！」

『あら、どうしたの』


かむろちゃんだ。


「助けて花魁ー！

なんか、変な男前が…！


花魁の部屋どこだって、

怖いですーーーー！！！」

『変な、…男前……？？』




うーーーーんんんんん。



心当たりしかない…。←


うわあああん、と声を上げて

泣いてしまった。


可哀想に思ったので

お菓子をあげたら

ご機嫌になって消えていった。




ちょちょちょーい。

花魁を置いてかないでーーー。






宇「よオ…、元気か……。




………A花魁さんよオ………？？？」



『し、師範っ…』



いつの間に、師範が部屋に入ってた。

すんごい怒ってる。



『あのぅ、すみませんでした』

宇「ほぉ〜〜〜？？



具体的に？」

『人気出すぎて、

師範が来れなくなったこと…』

宇「うーん。正解」



うわああ…。


満年の笑み…！！

恐ろしや〜、

私の命日が今日になるかも〜…。



腰をがっっっつり掴まれる。


2度と、離すまいと。




宇「俺、お前不足で

地味に死にそうなんだよ。


派手に補給させてくれよ」

『え、ちょ、まっって……ん』



唇に柔らかくて

心地よい熱さの

師範の唇が押し付けられる。


長くて長くて

甘い接吻。



宇「…はっ」

『ふぅ…』


唇が離れ

酸素を取り込む。


師範は窓に手をかけて

私に言った。




宇「毎日来るわ」



そして消えた。



忍って、凄い。

大正コソコソ噂話集6→←師範、私ね。

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