音柱は恋人依存症

師範、こうして私は。 ページ17

私の家は、

今思うと裕福な家庭でした。



美人で優しいお母様に

上背があって紳士的なお父様、

世話を焼いてくれる

婆やに爺やに姉や達。


お家も大きくて

花が広がる綺麗で豪華な屋敷。




父はとある会社の社長さんで、

色んな人に

愛されて守られて育ちました。





しかしある夜。



いつものように

お父様とお母様に挟まれて

静かに夜を過ごせたはずでした。


姉やが私に本を読み聞かせていた時です。



いきなり、父と母の悲鳴が聞こえました。


私達は怯えながらも

下に降りてみますと、

父と母が血まみれで

横たわっていました。


2人を見下ろすのは、

西洋風の姿をした男性。



この人が両親を殺したのだと

すぐに理解しました。



「あぁ、母親まで殺してしまった。

私がこの男に成り代わろうと

思ったのだが…。


仕方ない。

他をあたろう」

『待って！

お父様とお母様を返して！』

「A様、お逃げください！」

「早く！！！」


「…チッ。

グダグダと…。


見られたからな。

皆、殺してしまおう。

後が面倒だ」




婆やは私をすぐさま

暖炉の元へ

連れてきました。



「お嬢様、地図を描いておきました。

これで、奥様のご実家に。


この暖炉は隠し通路です。

さ、お先に逃げて。

私達もすぐに参りますから」




私はその言葉を信じて

暖炉の隠し通路から

逃げ出しました。


そして、母の実家に行ったのです。


結局、婆や達は来ませんでした。




初めこそ優しかった

叔母達ですが、

私の両親の訃報を聞くと

態度を改めました。


私は1人娘でしたので

両親の遺産は全て私に

引き継がれます。

ただ、まだ幼い私には

叔母が後見人となりました。


叔母達は

両親と私のお金や財産を

湯水のように使い始め、

私をいじめました。



もちろん、食事も余り物。

お風呂にもろくに入らせてもらえません。






ついには

私は人気のない場所に

捨てられました。


そこを助けてくれたのが

師範のお嫁さんである、須磨さんです。




その後は

師範が私に稽古をつけてくれて、

鬼殺隊に入隊しました。


入隊後に聞いた

無惨の噂。



「裕福で人脈がある家庭を狙い

成り代わっている」


見た目ははっきりと分かりませんし、

あの男の台詞しか覚えていませんでしたが

両親を殺した男が

無惨であると判明し、

私は鬼の滅殺に尽くせるようになりました。


私の命は、

初めから鬼殺隊の為にあります。

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