海賊さん、私と世間話しませんか？【シャンクス】 (ページ3)

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2話ページ3

身支度と朝食を済ませ、催し物の打ち合わせも終わった

お父様は相も変わらず催し物の成功ばかり考えていて

私のことは全く視界にも入れていなかった

お父様にとって、私は娘ではなく王女でもなく

催し物を成功させるための道具にすぎない

｢港に海賊船が停泊しているという情報が入っている。港のほうを周るのは中止し、警備を強化しておけ｣

｢はっ！｣

朝食中、お父様と警備兵の人がそんな話をしているのが聞こえた

楽しみにしていた停泊している船を見ることはできなくなってしまった

｢はぁ…つまんない…｣

準備は着々と行われ、催し物は問題なく始まった

私の仕事はただ笑顔で国民に手を振る、それだけ

こっそり港に停泊している船を見に行くこともできずに催し物は終わった

｢あー見たかったなぁー…船｣

｢海賊船が停泊していたのなら警備が厳しくなるのも仕方ないですよ。もしもAお嬢様の身に何かあったらお父様も民も悲しみます｣

｢はいはい｣

メイドさんのこの言葉ももう何度目だろう

何度聞いても民はともかくお父様が悲しむとはとても思えない

海賊船が停泊していなかったら今頃順路も予定通りで、幸せな気分で部屋に戻ってきていただろうに

なんて、名前も姿も知らない海賊に密かに怒りをぶつけるのだった

その夜

城内もすっかり寝静まったころ、私はベッドに座りながら本を読んでいた

部屋の中がいい感じに月の光に照らされて読書に集中できるのだ

｢海賊船…大航海時代…外の世界はやっぱり面白い！｣

今日港に停泊した海賊船はどんな人が乗っているのだろうか、どんな装飾がなされているのだろうか

なんて妄想を膨らませているときだった

｢？｣

この部屋に続く階段を上がる音が聞こえた気がした

お父様やメイドさんではない聞いたことのない足音

城内は警備兵がいるはずだから、盗人が簡単に入れるわけはない

足音を鳴らす人物は確実に階段を上ってきている

自然と恐怖心はなく、好奇心の方が強かった

ジッとしばらく部屋の扉を見つめていると、ゆっくりとその扉が開かれた

先程から足音を立てていた人物

麦わら帽子に真っ赤な髪

服装はとても身軽そうで、腰に剣を差している

｢今日は綺麗な夜だな、お嬢さん｣

その侵入してきた男はごく普通に話しかけてきた