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55話 ページ6

「私を、迎えに…」





宇隨さんのその言葉はとても嬉しい




嬉しいはずなのに、素直に喜べない自分がいる




黙った私を見て、宇髄さんが私の頬を引っ張る





「ふ、ふずいしゃん…?」





引っ張られているため上手く言葉を発することができない





「お前がなんでここで父親と住むことにしたのか、なんで俺たちには何も言わなかったのかは知らねぇ。俺と一緒に嫁たちの待つあの家に帰ることを渋ってる理由もだ」




「!?」





図星をつかれて動揺する





「だから話せ、お前の心の中にあるもの全部」





頬を引っ張る宇髄さんの手が離れる





「わ、私は…」





宇髄さんのまっすぐな眼を見ていたら自然と口からポロポロと言葉が零れ始めた





「宇髄さんと奥様方は家族、私とお父さんお母さんは家族。でも、私と宇髄さんたちは家族じゃない。家族でもない私はそばに居たらいけないんだって…思って…」





宇髄さんはただ黙って私の話を聞いていた




すべてを話し終えると、涙と鼻水で私の顔は何とも酷いものになっていた




しばらくの沈黙のあと、宇髄さんが私の頬に流れた涙を拭いながら口を開いた





「いいか、A。家族の定義も帰る家も一つだけじゃねぇ。一緒に笑ったり怒ったり泣いたり、同じ釜の飯を食ったり、同じ屋根の下で暮らしたらそれはもう家族同然だと俺は思ってる」




「家族にもいろんな形が……?」




「そうだ。夫婦や血の繋がりももちろん大事だ。そういう意味では俺とお前はただ偶然拾った、拾われた関係でしかない。だが、俺と嫁たちの中にAと共有している思い出がある」




「………うん」





いろいろ思い出してくる




宇髄さんや奥様方と過ごしたあの幸せな日々を




雛鶴さんから料理を教えて貰って、まきをさんには掃除の教えて貰って、須磨さんは一緒に買い物に行ってくれて




宇髄さんはそんな私たちを遠くから見ていたり、困っているときはすぐ助けてくれて、体調が悪いときにはすぐ気づいてくれる




それらは私だけじゃなく宇髄さんたちの中にも残っている記憶なんだ





「なら、俺たちはもう家族だ。俺も嫁たちもお前の帰りを待ってんだよ。俺たちを家族として、一緒に過ごしたあの家をAの第二の帰る場所にしてくれねぇか?」

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向日葵(プロフ) - 徳門七渚さん» 徳門七渚さん、勿体ないお言葉…ありがとうございます!自分のペースで更新していきたいと思いますので、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。 (2023年1月15日 7時) (レス) @page5 id: f6ff1cdc98 (このIDを非表示/違反報告)
徳門七渚(プロフ) - 言葉選びが上手でこんなに素晴らしい作品に出会えて嬉しいなと思いました。無理せず続けてくれると嬉しいです。 (2023年1月14日 4時) (レス) @page5 id: 94ece86ff9 (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - あもさん» あもさん、ありがとうございます。しっかり休んでまた更新頑張ります! (2022年12月14日 7時) (レス) id: f6ff1cdc98 (このIDを非表示/違反報告)
あも(プロフ) - ゆっくりと無理をせず身体を休めてください。 (2022年12月10日 12時) (レス) @page4 id: 656bb5ebbb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:向日葵 | 作成日時:2022年11月13日 22時

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