私、音柱に拾われました【宇髄天元】

30話 ページ31

宇髄side



｢………分かった。でも、家を出るのは明日にしろ。いろいろ準備もあんだろ｣




｢ありがとうございますっ！｣





Aは俺が許可するとは思っていなかったように、すごく嬉しそうな顔をして一礼してから部屋を出ていった





｢はぁー…｣





分かった、といったもののまだ心の中では許していない俺がいる




Aの意思を尊重したい




だが、この屋敷を出ていってまた一人になるつもりなんじゃないかという気がして仕方ない





｢あああぁぁ！！！………一人で悩んでいてもしょうがねぇか｣





少し睡眠をとってから嫁たちを部屋に呼び、Aのことを話した





｢天元様はAちゃんのこととなると本当に心配性ですね｣




｢うるせぇよ｣





雛鶴の言うとおりだとつくづく思う





｢Aちゃんいなくなっちゃうんですか…うぅ…｣




｢須磨！Aが決めたことなんだから泣くんじゃないよ！｣




｢だってー！まきをさんは寂しくないんですかー！｣




｢うっ…それは寂しいけど…｣





嫁たちの反応をみていると、Aがどれだけ俺たちにとっていて大切な存在かが分かる




全員いなくなるのは寂しく、でも自分の意思を持って行動するようになったことが嬉しくもあった





｢出会った時は敬語も使えねぇし言葉も少なかったやつが、今じゃどこに出しても恥ずかしくない女になったな｣




｢笑顔も増えましたよね｣




｢この間！庭に咲いてるお花みてるときすごく可愛い顔してました！｣




｢私もそれ見た！｣





言葉で言わなきゃ伝わんない、よな




派手を司る神だってのに地味なことしちまった




ド派手に行かなきゃ俺らしくねぇ





｢Aは、もう俺たちの“家族”だよな｣





その言葉に雛鶴、まきを、須磨は




迷いなく頷いた

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