私、音柱に拾われました【宇髄天元】

21話 ページ22

ご飯を食べ終えて、煉獄さんとはその場で別れた




何やらいろいろ慌ただしく去っていってしまった…柱はやはり忙しいのだろうか




宇髄さんも屋敷にいることが少ない




数日前、雛鶴さんに寂しくないのか聞いたことがある





｢もちろん寂しいといったら嘘になるわ。怪我をしていらっしゃるんじゃないか、ご飯はちゃんと食べていらっしゃるのか不安にもなる｣




｢でもね、私たちは私たちのやるべきことがある｣




｢……やるべきこと、ですか？｣




｢そう、ここで元気に笑顔で天元様の帰りを待つことよ｣





雛鶴さんだけじゃない、きっとまきをさんも須磨さんも心配や不安だろう




それでも宇髄さんならきっと大丈夫って信じているから、愛しているから




そんな強い気持ちが伝わってきた




そんな彼女たちが少し羨ましく感じた





｢皆何かのために生きているのに、私はどうなんだろう｣





幼い時に親に捨てられてから裏路地で寝泊まりしたり、雑草を食べたりして今まで生きてきたけど…それは何のためなんだろうか





｢雛鶴さんたちみたいに“愛”を知れば、生きる意味分かるかな｣





なんて思いながら帰路についた





｢え、私がお館様と？｣




｢おう｣





後日




朝から宇髄さんに呼ばれ話を聞くと、鬼殺隊のお偉い方が私を呼んでいるとのこと





｢なんで私を？｣




｢さぁな…お館様もお考えがあるんだろう。で、どうする？｣




｢…………｣





正直、どうすればいいのか分からなかった




もちろん呼ばれたら行かなければならないのは知っているが、鬼殺隊でもない私に何の話があるのか




もしかしたら…宇髄さんに迷惑をかけすぎ、とか！？





｢俺も一緒だから、そんな心配すんな。お館様はお優しいお方だ｣




｢………分かりました、行きます｣





お館様に会えばもしかしたら、今後自分が何をすればいいのか分かるかもしれない




顔も声もどんな人かも分からないのに、なぜだがそんなふうに思ってしまう

22話→←20話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す