私、音柱に拾われました【宇髄天元】

19話 ページ20

宇髄さんは私のことをほかの柱の方やお館様に説明してくれていたようだ





｢うまい！うまい！うまい！｣





名前は、煉獄杏寿郎さんというらしい




炎の呼吸を使うと説明されたが、鬼殺隊の呼吸というものについては未だによく分かっていない




少し掴みづらいところもあるが聞いていた通り、とてもいい人で強い正義感を持っているいうのは分かった




煉獄さんと主に鬼殺隊や宇髄さんの話をしていると




すぐ後ろでとある男の人たちの会話が耳に入った





｢そういえば聞いたか？あの町の裏路地にいた餓鬼がいなくなったらしいぜ？｣




｢おいおいまじかよ！俺狙ってたんだけどなー｣




｢アレは高く売れそうだったからな｣





思わず、食べている手を止めてしまった





｢…………｣




｢どうした、A？｣




｢っいえ………｣





彼らが話している内容は確実に自分のことだと分かる




今まで何度も連れていかれそうになったとき、相手の顔は覚えないが声だけは覚えるようにしていた




後ろにいる二人の声は、以前聞いたことがある




今の私は宇髄さんやお嫁さんたちのおかげで綺麗な服を着せて貰っているから、あの時とはだいぶ容姿が違う




向こうがこちらに気づいていないのが不幸中の幸いか





｢どうする？探すか？｣




｢もう誰かに連れていかれたんじゃねーか？｣




｢ハハハッ！かもな！｣





もし私がここにいるもバレたら連れていかれるのだろうか




またあの生活に戻るのだろうか




いろんなことが頭の中を巡る




急に箸が動かなくなった私を煉獄さんは心配してくれた





｢大丈夫か？｣




｢…………大丈夫です｣




｢嘘をつくな、手が震えているぞ｣




｢っ…｣





彼らの会話は止まらない




周りにも聴こえるような声量だから、周りのお客さんも迷惑そうにしている




しかし、彼らの風貌に怯えてなのか声を上げる者はいない




こうなったら気づかれる前にさっさと食べ終わって帰るしかない




震えた手で箸を持ち直し、料理を口に運ぼうとしたとき




ガタッといきなり煉獄さんが席を立った





｢店長！あとで弁償のお金は払う！｣




｢え？｣





すると煉獄さんは私の後ろにいる彼らの元へ

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