炎柱が目の前にいるんですけど【煉獄杏寿郎】

7話 ページ8

鬼は塵となって消えていく





｢す、すごい……｣





生でみた呼吸は、画面越しで見るものと全然違う




日輪刀から出る水がとても綺麗で




惹き込まれる




これが、柱





｢怪我はないか｣




｢は、はい｣




｢……………｣




｢……冨岡さん？｣




｢何故逃げなかった｣




｢何故って……走っても鬼に捕まる可能性のほうが高かったから、ですかね｣





最初は恐怖心があったが、アニメを何回も周回しているおかげなのかそれはすぐに消えた




だからこそ立ち向かうことが出来たのかもしれない





｢そうか｣




｢？｣





しばらく考え込むような仕草をした後、冨岡さんから発せられた言葉に私は耳を疑った





｢もしかしたらお前は剣士の素質があるのかもしれない｣




｢……………えぇぇぇぇ！？｣





なんでそういうことになるの！？




冨岡さんの考えがまったく理解できない





｢鬼を初めて見た者は恐怖心に負ける。だが、お前は立ち向かおうとした。状況による判断がはやい｣




｢な、なるほど…？｣





大学生までに積み上げてきた臨機応変力がこんなところで役に立つなんて思わなかった





｢…………私、鬼殺隊に入れますか？｣





鬼殺隊に入れれば一人でもこの世界を生きていける力が手に入る




そしてなにより




煉獄さんに会える可能性もあがる！





｢鬼殺隊に入るのは簡単じゃない｣




｢ですよね…｣





呼吸も使えない私があの最終選別を生き残れる可能性は低い





｢だが、お前に覚悟があれば可能性はある｣




｢覚悟……｣





平和な令和から私はまだ表面上でしか鬼殺隊を知らない




きっと想像よりもツラいことや苦しいことがたくさんあるだろう




でも




トリップしていきなり冨岡さんと出会って、鬼殺隊に入って煉獄さんに会えるチャンスが今来ている




これを逃すわけにはいかない





｢私、やります！｣




｢…………そうか｣





トリップしてから約2日




まだ右も左も分からない状態で




私の人生が動き始めた

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