9話 ページ10
｢はぁっ……はぁっ……｣
｢………っ……はぁっ……｣
お互いに体力が底を尽きて追いかけっこは終了した
結局、煉獄先生にCDは奪われた
｢これは借り物だからな！宇髄に返さねば！｣
｢それ返しても先生は先生で個別に買うんでしょ？｣
｢うむ！！もちろんだ！！｣
もう、諦めよう。
歌なんて別に、多くの人に聴いてもらってるわけだし？
気になる人だからって、嫌ってわけじゃないし？
うん、なんも問題ないない
｢はぁ……じゃあ、これあげます｣
｢これは……？｣
私は朝しのぶちゃんに渡したサイン会のチケットを煉獄先生に渡した
｢その歌声の人のサイン会です。新しいアルバムも貰えますよ｣
｢よもや！？貰っていいのか！？｣
｢はい｣
どうせほかに渡す人いないし
ロス自身には興味ないとはいえ、アルバムを貰えるなら煉獄先生もいいだろう
｢ありがたく受け取る！！………しかし、A少女はなぜこれを？｣
｢あーー…友達から渡されたんですけど、私用事があって行けなくて！｣
あっぶない！
なりゆきで渡したけど、確かにチケット持ってたら変だよな……
｢そうなのか！では、A少女の分も楽しんでこよう！｣
｢はい、お願いします｣
｢今度はA少女も一緒に行こう！｣
｢…………はい｣
それはできないな…ごめんなさい、煉獄先生
目をキラキラさせてチケットを見る煉獄先生は
しっぽをふる子犬に見えて少し可愛かった
休日の煉獄先生に会えるんだ…
と、サイン会が楽しみになった
そして、生放送のことをすっかり忘れていた私は急いで帰り
｢ロスです！よろしくお願いします！｣
無事に生放送に間に合ったのだった
マネージャーさんにはとても怒られた………
また
『今度覚えておいてください』
と、以前何かあった時のために教えてもらった宇髄先生の連絡先に
怒りのメールをした
返信は
『ごめんなさい』
だった
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作者名：向日葵 | 作成日時：2021年2月14日 17時
