10話 煉獄side ページ11
ある昼休み、同じ教師である宇髄に唐突に聞かれた
｢お前、ロスって知ってるか？｣
｢ロス？……うむ！分からん！｣
俺は最近流行っているものとかには疎かった
聞くと、ロスとは最近人気の歌手らしい
｢俺、コイツの歌声好きなんだわ。てことでお前も聴いてみろ｣
と、半ば強引にCDを渡されてしまった
とりあえず聴いてみた
彼女の歌声は心に響いてくる素敵なものだった
もっと他の曲も聴いてみたいなと思い、自然に他のCDも購入していた
その後、なぜかA少女との追いかけっこを行った
未だに彼女がなぜこんなにもこのCDを俺に聴いてほしくなかったのか不明である
俺は職員室に戻り
｢宇髄！CDありがとう！｣
CDを宇髄に返した
｢おう、どうだった？｣
｢素晴らしい歌声だ！もっとこのロスという人のことを知りたい！｣
｢おーおー派手にハマってんな！なら、今夜生放送あるから見たらどうだ？｣
｢生放送？｣
｢ロスが歌うんだよ｣
｢そうか！見てみよう！……む、そういえばA少女からサイン会とやらのチケットを貰ったぞ！｣
｢………ほー、あいつから……おー！良かったじゃねぇか！｣
｢？｣
最初の方は声が小さくて聞き取れなかった
幸運にも今日はもう仕事をほぼ終わらせていたのでそのまま帰路に着いた
｢ただいま！｣
｢兄上！おかえりなさい！｣
｢うむ！千寿郎！テレビをつけてくれるか！｣
｢？……は、はい｣
俺は普段テレビを見ることはあまりないので千寿郎は不思議そうにテレビをつけてくれた
宇髄に聞いたチャンネルにまわすと
『ロスです！よろしくお願いします！』
ちょうどタイミングが良かったようだ
『ではロスさん、準備お願いします！』
『はい！』
間もなくして曲が始まった
CDも良いが、映像と共に聴くのも悪くない
｢〜♪♪｣
｢兄上、この方お好きなんですか？｣
ノリノリな俺を千寿郎が驚いた顔で見つめてくる
｢うむ！素晴らしい歌声だ！｣
｢確かに、綺麗な歌声ですね！｣
それがきっかけで俺と千寿郎はどんどんロスという歌手の虜になっていった
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作者名：向日葵 | 作成日時：2021年2月14日 17時
