悪女に追い込まれたんだけど……【歌い手】【学パロ】

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どうやって勝とうかなぁ。

防戦一方になってしまっている真冬君を遠目から見つつ、ぼんやりと思考する。

物体の変化を操るのであれば、生身のままで攻撃すればいいけど、周りの気体とかを化学変化で無理矢理変えられたとなると戦えなくなるだろう。

うーん、と頭をひねっていると一つだけいい案が浮かんだ。

自然のものじゃないけど、それらから作られているからなんとかなると思うんだけどなぁ。この物質だったら。

彼方先輩と真冬君の間に入り込んで、自分で今さっき思いついたものを作り上げる。

原料は石油。化学変化しない、劣化しにくい特徴を持つ、現代では何処でも見かけられるようなもの。


プラスチック。


っても、単体では武器にならないのでBB弾使うような玩具の銃……でもまぁ威力は玩具どころの話じゃないけど。

彼方先輩の急所となる、眉間や首元とか狙って撃つ。

そ「っ、あーその手使ってきたか。」

顔を歪めて距離を取り、睨みつけてくる彼方先輩。

これで漸く五分五分の状態になった。でも、まだ勝てるかは分からない状態。

だから、精神的に追い詰める。

あえてもう自分が不利な状況と思わせて、逆転ができない状態だと錯覚させる。

上手く行くかは分からないけど、佰封じ込めた僕がやるんだから効果は少なからずあるだろ。

はぁー、と一息ついてから彼方先輩へ笑いかける。

『彼方先輩これからどうするんですか？佰は封じ込めましたし、貴方の異能が効きにくいプラスチックを僕ら使えますし、このままじゃあジリ貧ですよ？さっさと負けを認めたらどうですか？』

声に抑揚をつけて、聞き入るようにする。

ここで急だけど、心や体って思いのほか“音”に左右されやすいんだよね。

ほら、よく言うじゃん？音楽は人の心を動かすいい手段となるって。

音楽って音から成り立っている。それは、声も然りということだ。

声……音を操れるようになると、相手の精神を誘導できるようになるし、下手したら体の主導権を奪えるようになる。

生憎僕は声だけで体を乗っ取ることはできないけど、精神を自分の好きな方へ誘導することはできる。

しかも、今の状況では簡単だ。

だから。



暫く憎々しげにこちらを見ていた彼方先輩だったが、諦めたようにため息をついて。

そ「……降参する。俺らの負けだよ……。」




ほら、ね？

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