君が何回だって笑うから【実.況.者】

９回目 ページ9

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「飾り持ってきて欲しいんだけど」


実行委員の仕事は所謂パシリだから、各クラス1人ずつと人数が少ない。
学級の役割がある程度終わったらの参加でいいらしいけど、前日は逆に忙しいのかここに私以外の実行委員はいなかった。


「多分どっかの空き教室にあるから取ってきて」


忙しそうな茉白に適当な返事をして、飾り付けが入った段ボールを探しに行くことにした。


「これ持ってってくれる？」


やっと着いた、と思ったら優しそうな顔をした人に明らかに女子が持てる量じゃない荷物を渡された。
多分この人実は怖い人だ、なんて偏見を抱きながら仕方なく持つ。

前があんまり見えないまま階段を下りていると、肩に何かがぶつかった。
急に強い衝撃がきたことによって思わずよろけて手からは荷物がこぼれ落ちる。

...やばい、落ちる。

バランスをなくして少しずつ前に倒れていく体がやけに遅く感じた、その時。


「ほんっとに危ねえな...」


反射的に閉じてた目をゆっくり開けると階段の下には衣装が散らばっていた。
落ちると思っていた体は左腕がキヨに掴まれたことによって無事で、とりあえず安心する。


「あ、ありがとう...！なんでここに、」


「Aの手伝いをするように茉白に言われた」と教えてくれたキヨはどうやら隣のクラスの実行委員だったらしい。


「俺もずっとはそばにいれねえんだから気を付けろよ？」

「うん、本当にありがとう」


感謝してもしきれないのにキヨは「もういいから」と笑ってくれた。

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