君が何回だって笑うから【実.況.者】

４３回目 ページ43

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「だから、俺は今更奪うつもりなんてないよ」


うっしーには諦めるなって言われたけど、分かりきってる勝負に手を出す気はもうなくなってしまった。

中学の時、臆病で告白出来なかっただけの俺は"Aにはうっしーの方が相応しいから"なんて理由を付けて逃げてただけだった。
それも今では心の底から思ってるし2人に幸せになってほしい。

そして...逃げた事実は変わらないから。


「...難しいこと考えるのはええけど、俺はアドバイスなんかせんぞ」

「分かってる。...ありがとな、レトさん」


珍しく素直にお礼を言った俺にレトさんは訝しげな表情を作って「礼なんて気持ち悪いな」と毒づいた。
けど生憎、今はそれにイラつくことはない。

ここまで話を聞いてくれて、それに文句も言わないでいてくれたんだから。


「...キヨ君が納得したならええけど...ごめんな」

「なんでレトさんが謝んの。...いいよ、別に」


当て馬的役割を押し付けたことを謝ってるんだろうけど別に気にしていない。

今はただ、俺のせいで拗れたこの恋をどう修正してやるかが問題だ。


「まあ、でも」


恋心なんて自覚しなければよかった、なんて思わないしそんな後悔を挙げだしたらキリがない。
それに、好きにならなきゃよかったとも思わない。

でも、好きの気持ちが消えたわけじゃないからさ。


「うっしーがAを泣かせたら、そん時はすーぐ飛んでくけど」


俺が茶化すようにそう笑って見せると、レトさんも同調するように笑ってくれた。

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