幸せな日を ページ48
.
「...本当に、綺麗だね」
Aが愛おしく見つめる先には、輝くリングがあった。
俺の薬指には新しくしたAのリングとお揃いのものと、今までのが重ね付けされている。
結婚式の真似事をして指輪交換をしようと言い出したのは俺だった。
それが正解だと思えたのは今、Aが幸せそうに笑ってくれてやっとだった。
...成人しても他の誰に目移りすることなくいつまでも俺のそばにいてくれたAがこれからも隣で笑ってくれるように、約束を。
家族も、友人も、神様も知らなくていい、ただの俺達のわがまま。
白いベールにワンピース、俺はただのスーツで、結婚式なんて言えるものじゃないけど...それでもよかった。
教会でも、式場でもない、俺達には見慣れた2人の家の中。
拍手も冷やかしも聞こえない、観客は誰もいない。
「...世界一綺麗」
「うっしーも、世界一かっこいい」
俺の言葉に優しく微笑んでくれた姿が、あの日の花嫁姿に重なってただひたすらに見惚れた。
ベールを上げて、Aと視線を合わせる。
...誓いの言葉は、ずっと昔に捧げたから。
頬に手を滑らせてそのまま優しく唇を重ねると、あの日に戻ったような感覚になった。
「...こんなに幸せでいいのかなあ」
涙を流したAに「当たり前だろ」と笑う。
その表情が見たかった俺にとっては幸せ以外の言葉で言い表せなかった。
.
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 99人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユシア(プロフ) - まめさん» そう言って頂けると大変励みになります。ありがとうございます！ (2020年3月11日 22時) (
レス) id: d4780b9520 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - とても好きです... (2020年3月11日 22時) (レス) id: 12b073cf75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユシア | 作成日時：2020年3月4日 23時
