【実.況.者】今日も君のそばで笑わせて【短編集】 (ページ39)

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思惑は意図じゃなくて恋心 /us ページ39

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迷惑をかけてしまった相手にお詫びができるなら、と思って返事しちゃったけど、これでよかったよね。

この間のことをもう一度謝って、私に奢らせてもらおう。
そしたらもう話す必要がなくなってしまうことに胸が少し痛んだのは気付かないフリをした。

牛沢、と名乗ったこの人は話が上手くてかなり会話が弾んだ。
ビールぶっかけた私にまでこんな優しくしてくれるなんて何か裏があるのでは？と思ってしまうくらい優しいし。
この後私売られたりしない？大丈夫？そんな不安が募ってつい聞いてしまった。

「...あの、牛沢さん、何でこんなに私に優しいんですか？」

「...ちょっと思惑があるって言ったら困りますか？」

ひゅっと背筋が凍った気がした。
実はこの人偉い人とかで、失礼をした私はやっぱり酷い目に遭うんじゃない！？

表情が固まった私に気付いたのか焦り出した牛沢さんに、逃げるなら今しかない！と席を立とうとした。

「可能性がないって分かりきってても、最後に言わせてください」

立とうとした、んだけど真面目な顔してそんなことを言うから体が止まってしまった。
そんな真っ直ぐな目で見られたら逃げる気も失せてしまう。

足だけは入り口の方へ向けて牛沢さんの言葉を待った。

「好きです」

......すきって、好き？
あまりに予想外の言葉だったせいで、まさに開いた口が塞がらない状態だった。

「わ、私のこと、売ったりするんじゃ...」

「...え、その発想どこから出てきたんですか」

拍子抜けしたようにケラケラと笑い出す牛沢さんを見て、ようやく現実を理解し始めた。
それと同時に心臓の動きが速くなっていく。

私とは反対に余裕がでてきたのか、牛沢さんはニヤニヤとした顔つきに変わった。

「可能性、ありますか？」

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元ネタはラジオ「無回転」第13回より。