必要な時間は"少し"だけ /rt ページ34
.
「...また忘れたのー？しょうがないなあ...ごめんねA。ちょっと行ってくる」
ドヤ顔のキヨ君と目が合ったと思ったら彼女さんにも親指を立てられてしまったし、つまりはチャンスをくれたということだろう。
1人になったAの腕を引いて人気の少ない階段の踊り場まで連れて行った。
少し俺の気持ちを言うくらいなら休み時間の残り5分で足りる。
「...お、怒ってる？なんで？」
「...Aは、俺のこと好き？」
...返ってくるのが無言はかなりクるものがある。
普段あんなに好き好き言ってるのに俺には言えんのか、と不機嫌になったのが分かったのかAは一瞬焦った顔をして、そして頷いた。
...そうじゃなくて、俺は「好き」が聞きたいんや！！
「...俺には好きって言ってくれへんの？」
「えっ、えっと、その..だって、緊張するんだもん」
可愛らしい理由に緩みそうになる頬を必死に抑えた。
いつもは明るいAがどんどん声が小さく顔が赤くなっていくこの姿は、俺しか見られないんだという優越感を感じた。
「それってつまり、俺のこと意識してくれてるってことでいい？」
「...そうじゃなきゃ彼女なんてならないよ」
はにかみ顔に赤くなった俺の顔を隠すようにAの首に顔を埋めた。
痕はつけずに軽くリップ音だけ立てて我慢する。
それと同時に鳴った予鈴に立ち上がると後ろから裾を引かれて耳元で呟かれた。
「...好き、だよ」
...ほんっとに俺の彼女はずるい。
教室へ小走りで行こうとするAは俺の我慢を粉砕したことに気付いてないんだろうな、と今度は俺が裾を引っ張った。
あと、少しだけ。
.
初恋はやがて愛になり /us→←必要な時間は"少し"だけ /rt
ラッキーカラー
あずきいろ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ユシア | 作成日時：2020年2月1日 12時
