不安だなんて言わないから /rt ページ23
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「私仮にも彼女なんだから、第二ボタンちょーだい」
「仮どころか本物やけど。...でもまあボタンはあげない」
今日は本当にどうしたんだ。
さらっと恥ずかしいことを指摘してくるレトルトずるすぎるんじゃない？
っていうか、ボタンくらいくれてもいいのに。
「Aどうせ失くすやん。あとブレザーのボタンって心臓にも近くないよな？」
「失くさないし！...近くにいてくれないなら思い出の品一つくらいくれてもいいでしょ」
馬鹿にしたように笑ってくるレトルトにムカついてつい本音が出てしまった。
ちら、と顔を見るとまた驚いたような顔をしている。
私も調子がおかしいのかもしれないからレトルトのこと言えないなあ、なんて。
「...はあ。そんなこと言われたら行きたくなくなるやんか」
ついたため息も照れ隠しだと分かってるから嬉しくなった。
離れたくないなんてどこのバカップルだよ、と今まで思っていたけど自分のことだったようだ。
ニコニコと糸切りバサミをポケットから取り出して渡してあげると今度は本当にため息をつかれた。
「そんなに言うならあげるけど、一つだけ約束して」
サクッと外されたボタンが私の手に渡ると条件を出された。
流石に無理難題は出さないと思うから頷いてボタンを握る手に力を入れた。
「そのボタンを、絶対俺に返しに来ること」
「...あと2年くらい余裕だよ」
"約束"は未来を縛るものじゃなくて繋ぐもの。
絶対に失くさないし絶対に目移りしないよ。
子供みたいに指切りをして「またね」と笑った。
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作者名：ユシア | 作成日時：2020年2月1日 12時
